衆参5補選の結果はいかなる意味を持つか

昨日、衆参両院の5つの補欠選挙が行われるとともに、統一地方選挙の後半も実施されました。

5補選については自民党が衆議院の3選挙区及び参議院の1選挙区に勝利し、和歌山1区では日本維新の会の林佑美候補が自民党の門博文候補に勝利しました。

野党第一党の立憲民主党は3つの選挙区で候補者を擁立したものの、いずれも議席の獲得には及びませんでした。

今回の衆参両院の補欠選挙の結果を概括すると、自民党は勝利した4つの選挙区のうち衆議院の衆議院の山口4区以外は次点の候補との得票差が6000票以内と接戦であり、山口4区のみが次点との差が2倍以上でした。特に参議院大分選挙区では自民党の白坂亜紀候補と立憲民主党の吉田忠智候補の差は341票で、勝者と敗者が入れ替わっていても不思議ではない結果と言えます。

その意味で、岸田文雄政権に対する有権者の中間評価という性格を持つ今回の5つの補選[1]は、政権を信任したものの一層の奮起を促すものであったと考えられます。

一方、立憲民主党は参院大分選挙区での善戦を除けば具体的な成果に乏しい選挙でした。

政権との対話か対決かという二者択一的な党の運営の方針が中道派に対する求心力を弱め、結果として党の存在感を低下させたことが推察されます。

日本維新の会については統一地方選挙前半における勢力の拡大を受ける形で和歌山1区での勝利を収め、さらなる党勢の拡張の可能性を予想させます。

ただし、和歌山県も滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、鳥取県、徳島県などとともに関西広域連合を形成し、中央集権体制の打破などを主張していること[2]を考えれば、近畿圏以外への勢力の浸透はあっても、依然として関西以外での存在感の向上には工夫の余地があります。

それだけに、昨年7月8日に遭難した安倍晋三元首相の後継者であった自民党の吉田真次候補が立憲民主党の有田芳生候補に2倍の得票差をつけて勝利したことは、改めて安倍元首相の影響力の強さを窺わせるものでした。

岸田首相にとっても安倍氏の亡き後も主たる支持者であった保守層への配慮が今後も不可欠になると言えるでのです。

[1]衆参5補選きょう投開票. 日本経済新聞, 2023年4月23日朝刊1面.
[2]関西広域連合について. 和歌山県, 公開日不詳, https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000600/kansaikouikirengo/kansaikouikirengo.html (2023年4月24日閲覧).

<Executive Summary>
What Is a Meaning of the Special Elections of the Both Diets? (Yusuke Suzumura)

The Special Elections of the Both Diets were conducted on 23rd April 2023 and the Liberal Democratic Party won the 4 of 5 seats. On this occasion we examine a meaning of the elections.

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