【追悼文】渡辺宙明さんについて思い出すいくつかのこと

去る6月23日(木)、作曲家の渡辺宙明さんが逝去しました。享年96歳でした。

渡辺さんがラジオドラマの作曲から出発し、映画音楽から特撮番組やアニメーションへと活動の場を広げ、最晩年に至るまで現役作曲家として活動を続けたことは広く知られるところです。

私も、子どもの頃から視聴する番組の多くで渡辺さんの手掛けた音楽を耳にしたものです。

そのような作品の中でもとりわけ印象的なのは『電子戦隊デンジマン』でした。

『電子戦隊デンジマン』は主題歌も終わりの歌も魅力的なもので、特に終わりの歌は切迫感のある歌詞と哀愁を漂わせる成田賢さんの歌唱を渡辺さんの音楽が力強く支えていました。

特に短調で始まる作品が中盤でいったん長調となり、そして再び短調に戻る様子は視聴時に3歳であった私にとっても印象深く、歌詞はもとより特徴的な旋律は今でも耳に強く残っています。

あるいは、再放送で視聴した『秘密戦隊ゴレンジャー』は、終わりの歌の「ちからとわざの」という箇所の旋律を2小節前で先取りしていることに気付き、子ども向けの番組への音楽であっても妥協せず様々な趣向を凝らしていることを実感したものでした。

このほか、「宇宙刑事」や「スーパー戦隊」の連作など、1980年代の多くの子どもが一度は視聴した様々な作品に音楽を提供した渡辺さんは、日本のテレビ界の発展に音楽を通して大きく貢献した作曲家の一人でした。

多年にわたるご活躍に感謝しつつ、改めてご冥福をお祈り申し上げます。

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Mr. Chumei Watanabe (Yusuke Suzumura)

Mr. Chumei Watanabe, a composer, had passed away at the age of 96 on 23rd June 2022. In this occasion I remember miscellaneous memories of Mr. Watanabe.

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