『リサイタル・パッシオ』の「大平健介特集」について思ったいくつかのこと

去る7月31日(日)と8月7日(日)にNHK FMで放送された『リサイタル・パッシオ』は、オルガン奏者大平健介さんがNHKホールで行った公開収録の様子を特集しました。

7月31日の放送は大平さんのオルガンによりバッハの『トッカータ』ハ長調、マッターの『コラール「われ神より離れず」による幻想曲』、レーガーの『序奏とパッサカリア』が、8月7日の放送はオルガンアンサンブルとしてヨハンセンの『サンライズ』、サン=サーンスのファゴット・ソナタより第1楽章、そしてリードの『深い淵から』を取り上げました。ファゴットは福士マリ子、ホルンは岸上穣のお二人でした。

今回の放送は、大平さんの素晴らしい音楽と普段利用される機会の少ないNHKホールのオルガンの音色を堪能できた貴重な回となりました。

特に、NHKホールのオルガンについてはNHK交響楽団の定期公演でも舞台上に置かれたリモートコンソールが利用され、実際に演奏台を使用する機会は少ないのが実情です。

そのような中で今回のようにオルガンを直接操作して演奏が行われることは、聴取者にとっても楽器そのものにとっても重要な機会となりました。

また、NHKホールのオルガンに設置された「星」であるツィンベルシュテルンについて、その演奏上の効果を大平さんが具体的に解説されたことは、教育的側面からも意義深いものでした。

もとより、両日とも充実した演奏が紹介されるとともに、司会の金子三勇士さんの出演者の魅力を引き出す対話と進行も魅力的でした。

その意味でも今回の特集は音楽的にも教育的にもいつにも増して印象的な内容であったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
"Recital Passio" and Its Musical and Educational Impacts with Mr. Kensuke Ohira (Yusuke Suzumura)

The Radio Programme broadcasted via the NHK FM "Recital Passio" featured Mr. Kensuke Ohira, an Organist, on 31st July and 7th August 2022. It is very remarkable opportunity for the listeners to understand charms and constructions of the instrument with performances and instructions by Mr. Ohira.

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