『音楽の泉』が教える日本の作曲家の特徴と魅力

今朝は、8時5分から8時55分までNHKラジオ第一で『音楽の泉』を聴取しました。

今回は「芥川也寸志、外山雄三の管弦楽名曲」と題し、芥川也寸志、外山雄三、伊福部昭、間宮芳生、幸田延の管弦楽作品が紹介されました。取り上げられたのは、芥川の『管弦楽のための三楽章』、外山の『管弦楽のためのラプソディー』、伊福部の『日本狂詩曲』から「祭」、間宮の『チェロとピアノのための六つの日本民謡』から「ちらん節」、そして幸田ヴァイオリン・ソナタでした。

いずれも日本の音楽の発展に大きく貢献し、日本音楽史を通覧する際に欠かすことのできない作曲家の代表的な作品が揃うことで、それぞれの作曲家の特徴や魅力を知るために十分な内容となりました。

また、近年大谷康子などの著名な演奏するものの、半ば歴史の中に埋もれた存在ともいえる幸田を紹介するところに、「男性だけでなく女性も日本の音楽の発展に貢献した」という事実を伝えようとする、司会の奥田佳道先生の配慮の一端が窺われました。

それとともに、芥川が日本人の指揮者(佐渡裕)と外国の楽団(トーンキュンストラー管弦楽団)、外山が外国人の指揮者(アンドレア・バッティストーニ)と日本の楽団(東京フィルハーモニー交響楽団)という組み合わせの音源が利用されたことは興味深いものでした。

なぜなら、こうした選曲により、ややもすれば「日本的な感性」や「日本的な旋律」が強調されがちな日本人作曲家の作品ながら、国境の枠を超えて演奏されるに堪えうる一種の普遍性を備えていることが示されたからであり、「世界の中の日本の音楽」あるいは「日本の作曲家の相対化」という点で意義深い取り組みであったと言えるでしょう。

50分間という限られた時間の中で各作曲家の特徴を伝えつつ作品の概略を紹介し、聴取者に鑑賞の機会を提供し続ける『音楽の泉』が、今後も定期的に日本人の作曲家の特集を企画することが期待されます。

<Executive Summary>
"The Fountain of Music" Shows Characteristics of Japanese Composers through Their Masterpieces (Yusuke Suzumura)

A radio programme entitled "The Fountain of Music" (in Japanese Ongaku no Izumi) broadcasted via NHK Radio 1 featured Japanese composers on 31st July 2022. It might be a meaningful opportunity for us to understand characteristics of Japanese composers through their masterpieces.

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