NHK交響楽団第1963回定期公演

昨日、NHK交響楽団の第1963回定期公演がNHKホールにおいて行われ、NHK FMの実況中継を鑑賞しました。

今回は先日の第1962回に続き、ファビオ・ルイージの首席指揮者就任記念公演で、リヒャルト・シュトラウスの交響詩『ドン・ファン』、オーボエ協奏曲、そして歌劇『ばらの騎士』組曲が取り上げられました。オーボエ独奏はエヴァ・スタイナーでした。

ルイージがリヒャルト・シュトラウスの作品を得意とすることは広く知られているところで、これまでにも客演指揮者としてNHK響と2020年1月の第1932回で『最後の四つの歌』や交響詩『英雄の生涯』を取り上げたことは記憶に新しいところです。

それだけに、首席指揮者就任記念という節目の公演でのリヒャルト・シュトラウスがどのような演奏になるか自ずから関心が集まるのも、当然と言えるでしょう。

3曲の中で最も印象的であったのはオーボエ協奏曲で、独奏のスタイナーの表現力の豊かさと正確な運指は、作品から難曲という要素を奪い去るかのようでした。

また、伴奏も独奏を支えることに徹し、室内楽的な繊細で密度の濃い演奏を披露しました。

第1曲目の『ドン・ファン』も冒頭から集約力が高く、それでいて気負った様子のない演奏は作品の特徴をよく押さえており、音量と運動量の豊かな楽団と正確さと音楽の細部を奏者に委ねるゆとりを備えたルイージの双方の持ち味がよく発揮されました。

これに対し、『ばらの騎士』組曲は最初の2曲に比べるとしなやかさに欠け、時に重苦しささえ感じられました。

もちろん演奏そのものは鑑賞に堪えうる水準ながら、休憩時間のない公演で集中力をいかに保つか、あるいはいかにして曲想の異なる作品に明確な輪郭を与えるかという点から見れば、もう一歩踏み込むことも可能でした。

今後、両者がこうした点にどのような回答を与えるかが注目された、今回の定期公演でした。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1963rd Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1963rd Subscription Concert at the NHK Hall on 17th September 2022 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Richard Strauss' Don Juan, Oboe Concerto, and Suite from Der Rosenkavalier. Solo oboe was Eva Steinaa and conductor was Fabio Luisi.

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