『クラシックの迷宮』の取り上げた歌劇『聴耳頭巾』が教える團伊玖磨の音楽の多層性

本日のNHK FMの『クラシックの迷宮』は團伊玖磨の生誕100年を記念した特集の第2回目となる「團伊玖磨の歌劇「聴耳頭巾」~NHKのアーカイブスから~」が放送されました。

團伊玖磨の歌劇としては1951年の『夕鶴』が日本の歌劇史上最多の公演回数を数え、團の音楽に親しみのない人にとってもその名前だけは聞いたことがあるという高い知名度を誇ります。

一方、『夕鶴』と同じく木下順二の戯曲に基づき、日本の民話を題材としつつ、人間の持つ普遍的な価値を引き出しながら、上演される機会が少なく、人口に膾炙していないともいうべき歌劇が『聴耳頭巾』です。

歌劇における頭巾と言えば、ワーグナーの『ジークフリート』における森の場面で、主人公のジークフリートが森の奥の洞窟ナイトヘーレの中で隠れ頭巾によって大蛇に姿を変え、ニーベルングの指環などを運び出してくるという筋立てが思い浮かびます。

しかし、『聴耳頭巾』はそのような幻想的な世界の描写を目指したものではありません。あるいは、『夕鶴』と童謡に、民話の歌劇化に留まるものでもありません。

むしろ、権力に対する批判や人間讃歌というわれわれにとってより身近な事柄を民話の形を通して描き出す作品に他なりません。

そのような『聴耳頭巾』を團伊玖磨の生誕100年記念の一環として取り上げるところに司会の片山杜秀先生の見識の高さがありますし、なかば忘れ去られた作品となりつつある『聴耳頭巾』の記憶を現在に蘇らせる役割を果たしていました。

このようなところに今回の特集の意義があるとともに、團伊玖磨の音楽の持つ多層性が示されていたと言えるでしょう。

<Executive Summary>
The Featured Programme of the "Labyrinth of Classical Music" Shows Dan Ikuma's Different Characteristics (Yusuke Suzumura)

The NHK FM's programme "Labyrinth of Classical Music" featured the relationships between Rock Music and Classical Music focusing on some remarkable composers including Ikuma Dan including . It was a remarkable opportunity for us to understand Dan's philosophy thorought versatile talents and pices.

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