NHK交響楽団第1962回定期公演

昨日、NHKホールにおいてNHK交響楽団の第1962回定期公演が行われ、NHK FMでの実況中継で鑑賞しました。

今回はベルディのレクイエムが演奏されました。独唱はソプラノがヒブラ・ゲルズマーワ、メゾ・ソプラノがオレシア・ペトロヴァ、テノールがルネ・バルベラ、バスがヨン・グァンチョル、合唱は新国立劇場合唱団、指揮はファビオ・ルイージでした。

パーヴォ・ヤルヴィの後任として今月首席指揮者に就任したルイージにとって、今回の公演はNHK響との新たな間柄を披露する最初の機会となりました。

歌劇にも交響管弦楽にも手腕を発揮してきたルイージが首席指揮者として臨む定期公演にレクイエムを取り上げたことは、自らの持ち味をよく発揮するだけでなく、現在の楽団との関係を知るためにもよい選曲となりました。

独唱陣は不断に緊張感を強いられる作品に対して臆することなく歌唱し、4人が繊細な歌い口でそれぞれの役割を雄弁に務め上げました。

特にベルバラとヨンは重厚さの背後に敏捷さを秘めた歌いぶりにより、作品の輪郭を明瞭に描くことに成功していました。

また、合唱もレクイエムの劇的な側面をよく表現し、独唱陣の活躍を力強く支えました。

一方、NHK響は時に音楽を牽引し、時に歌手たちを支え、新首席指揮者と最初の、そして改修後初のNHKホールでの公演を華やかに彩りました。

音量の大きさは楽団の魅力の一つであり、その魅力が国内屈指の客席数を誇るNHKホールでこそよく発揮されることを、改めて示したと言えるでしょう。

ヤルヴィの下で、NHK響は伝統的に得意としてきた独墺系の作品の演奏が磨き上げられるとともに、ヤルヴィの分析的な曲作りによって演奏の水準も引き上げられました。

新たに始まったルイージとNHK響とがどのような道を進み、どのような演奏を聞き手の前にもたらすのか、これからの定期公演が注目されます。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1962nd Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1962nd Subscription Concert at the NHK Hall on 10th September 2022 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Verdi's Messa da requiem. Solists were Hibla Gerzmava (Soprano), OLesya Petrova (Mezzo soprano), René Barbera (Tenor) and Kwangchul Youn (Bass). Conductor was Fabio Luisi.

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