NHK交響楽団第1981回定期公演

昨日は、NHK交響楽団の第1981回定期公演が行われ、NHK FMの実況中継で鑑賞しました。会場はNHKホールでした。

今回は、ルーセルの弦楽のためのシンフォニエッタ、プーランクのシンフォニエッタ、イベールの室内管弦楽のためのディヴェルティスマンの3曲が演奏されました。指揮はパーヴォ・ヤルヴィでした。

「シンフォニエッタ」を中心に据えてルーセル、プーランク、イベールの3人の作品を取り上げるは、公演の選曲に定評のあるヤルヴィらしい趣向の凝らされたものでした。

また、旋律を短めに取ることで音楽の輪郭を浮き彫りにし、それによって一つひとつの作品の持つ多様な表情を力強く描き出すヤルヴィの演奏の様式は、首席指揮者は交替しても大部分の演奏者にとっては馴染み深いものです。

ここに、作品の枠組みを大きく捉え、細部に至るまで磨き上げることで音楽に広がりを与えるファビオ・ルイージの演奏に接している楽団の今の姿が重なり合うことで、聞き慣れたはずの3人の音楽に新たな表情が加わったことは、今回の公演の大きな成果の一つでした。

特にルーセルは大きな牽引役が不在という点が懸念されたものの、弦楽各部の奏者の水準が概して向上していることが、抑制的な高揚感を秘めた演奏からよく伝わりました。

もちろんプーランクとイベールについても、颯爽とした指揮ぶりの背後にある入念な仕掛けが随所にちりばめられた聞き応えのある内容で、改めて実際の演奏時間が50分の公演でも工夫のいかんによって密度の高い仕上がりを実現できることが示された、今回のヤルヴィとNHK響の定期公演でした。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 1981st Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1981st Subscription Concert at the NHK Hall and broadcasted via the NHK FM on 21st April 2023. In this time they performed Roussel's Sinfonietta for String Orchestra, Poulenc's Sinfonietta and Ibert's Divertissement for Chamber Orchestra. Conductor was Paavo Järvi.

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