見出し画像

NHK交響楽団第2014回定期公演

昨日、NHKホールにおいてNHK交響楽団の第2014回定期公演が行われ、NHK FMの実況中継で鑑賞しました。

今回はイベールの『寄港地』、ラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲、ドビュッシーの夜想曲が演奏されました。ピアノ独奏はデニス・コジュヒン、合唱は東京混声合唱団で、指揮は沖澤のどかでした。

京都市交響楽団の常任指揮者を務めるほか、今年6月13日(木)にはセイジ・オザワ 松本フェスティバルの首席客演指揮者への就任も発表され、現在伸び盛りの指揮者の一人として注目されているのが沖澤です。

2020年に「夏のフレッシュコンサート」で初めて共演し、2022年のオーチャード定期を経て今回の定期公演への初登壇と、NHK響との関係も深まりを見せる沖澤だけに、イベール、ラヴェル、ドビュッシーと得意とするフランス音楽を揃えた今回の公演がどのようなものになるかは大いに注目さるところでした。

実際の演奏では、ラヴェルにおいて、左手のためのピアノ協奏曲を得意とするコジュヒンがほとんど前のめりになるかのように伴奏を引きずりつつ曲を進めるのを押しとどめる場面が見られたのは、今後の課題と考えられました。

その一方で、イベールの『寄港地』で示した、演奏者を牽引するのでも、演奏者に牽引されるのでもなく、行くべき方向を大まかに定めつつその枠内で演奏者にゆとりをもって曲を演奏させる余地を与えたことは、オーケストラとの関係の築き方に習熟していることをうかがわせ、現在の活躍が実力によるものであることを力強く訴えかけました、

また、夜想曲では東京混声合唱団の繊細な歌い方を際立たせることで作品にふくらみと品位を与えることに成功し、聞き手の注意を惹きつけて離しませんでした。

全体として高い水準で公演をまとめた手腕は、今後の芸術性の深まりとともにどのような進化を遂げるかを期待させるもので、これからの定期公演でどのような作品を取り上げるかという点と合わせて大いに楽しみなところです。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 2014th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 2014th Subscription Concert at the NHK Hall and was broadcast via NHK FM on 14th June 2024. In this time, they performed Ibert's Escales, Ravel's Piano Concerto for the Left Hand, and Debussy's Nocturnes. Solo piano was Denis Kozhukhin and female chorus was the Philharmonic Chorus of Tokyo. Conductor was Nodoka Okisawa.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?