NHK交響楽団2021年5月東京芸術劇場公演

今日は、NHK FMでNHK交響楽団の2021年5月東京芸術劇場公演を聴取しました。

今回は、前半にグアルニエーリの弦と打楽器のための協奏曲、ピアソラのバンドネオン協奏曲、後半にヒナステラの協奏的変奏曲、ファリャのバレエ組曲『三角帽子』より第1部が演奏されました。バンドネオン独奏は三浦一馬、指揮は原田慶太楼でした。

米国で中等以降の教育を受け、米国の音楽界での経験が長い原田が南北アメリカ大陸の作曲家の作品を得意とすることは2020年11月のNHKホール及び東京芸術劇場での公演でも広く知られるところとなりました。

NHK交響楽団にとってローレンス・フォスターやレナード・スラットキン以来の「アメリカ音楽を得意とする指揮者」とも言うべき原田が揃えた4曲はいずれも指揮者の力量を遺憾なく伝えるもので、十分な聞きごたえのある演奏でした。

特に前半のピアソラは、近年実力派のバンドネオン奏者として声価を高める三浦一馬が、自らの師事したネストル・マルコーニから譲り受けた1938年にドイツで製造された楽器とともに繊細で彩り豊かな演奏を披露し、この日の中心的な演目にふさわしい仕上がりを見せました。

また、打楽器による約1分間の偶発的な即興を頂点に、各楽器が変奏ごとに旋律を受け継ぐヒナステラや、日本初演となったグアルニエーリはNHK響にとって演奏頻度の少ない作曲家であり、定期公演に準じる各月の公演でこうした作曲家たちの作品が取り上げられることは、楽団の選曲の幅だけでなく聞き手の知見をも広げるという点で、意義深いものでした。

本公演の元となった定期公演Cプログラムで定期的に取り上げられるファリャの『三角帽子』も含め、今日の公演からは、原田とNHK響のさらなる共演への期待が一層高まったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra May Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the May Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre and broadcasted via NHK FM on 20th May 2021. In this time they performed Guarnieri's Concerto for String Orchestra and Percussion, Piazzolla's Bandoneon Concerto "Aconcagua", Ginastera's Variaciones Concertantes and Falla's "El sombrero de tres picos" Suit No. 1. Solo Bandneon was Kazuma Miura and conductor was Keitaro Harada.

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