名古屋フィルハーモニー交響楽団第476回定期演奏会

昨日、16時から17時40分まで愛知県芸術劇場コンサートホールで名古屋フィルハーモニー交響楽団の第476回定期演奏会を鑑賞しました。

今回は、前半にモーツァルトの交響曲第38番「プラハ」、後半にリヒャルト・シュトラウスの交響詩『英雄の生涯』が演奏されました。指揮は小泉和裕でした。

寸評は以下の通りです。

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名古屋フィルハーモニー交響楽団の第476回定期公演は、小泉和裕の指揮により、前半にモーツァルトの交響曲第38番「プラハ」、後半にリヒャルト・シュトラウスの交響詩『英雄の生涯』が演奏された。

小泉の指揮を直接目にするのは、2005年1月21日に行われた東京都交響楽団の第600回定期演奏会以来15年ぶりのことであった。

明確な打点を示すのではなく弧を描く腕の中で打点を表現する「カラヤン仕込み」の指揮ぶりと、分析的で合理的に譜面を読み進めながら時折情感的な側面を織り交ぜる音楽作りは当時から変わらぬままである。

それでは、2016年以来音楽監督を務める名古屋フィルと取り上げたモーツァルトとシュトラウスはどうであったか。弦楽器の層を厚くして旋律を積み重ねる小泉の手法には、この日の演奏では奏者の志向といくばくかのすれ違いが認められた。

第1楽章における弦楽器の絶妙な一体感は交響曲第38番が持つ大きな魅力の一つではあるものの、弦楽器の編成の大きさと時に高音部を担うチェロの不安定さとによって旋律の繊細さが失われたことなどは、志向性の不一致の象徴的な事例だろう。

また、シュトラウスでは後半から弦楽器の演奏の精度が落ちたことや、独奏の箇所を含めて管楽器に安定感が乏しかったことなどは、選曲の問題とともに、指揮者と楽団の関係を一層緊密化させる余地があることを推察させるものだった。

一方、モーツァルトの第3楽章を一貫する主題を正確に弾き続けたり、シュトラウスの冒頭で集約力の高さを示したことは、両者の間柄が持つ可能性の高さを表していたと言えるだろう。

*名古屋フィルハーモニー交響楽団第476回定期演奏会. 2020年2月22日(土), 16時から17時44分, 愛知県芸術劇場コンサートホール.
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<Executive Summary>
Stage Review: The Nagoya Philharmonic Orchestra the 476th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The Nagoya Philharmonic Orchestra held the 476th Subscription Concert at the Aichi Prefectural Arts Theater Concert Hall on 22nd February 2020. In this time they played Mozart's 38th symphony and Strauss' Ein Heldenleben. Conductor was Kazuhiro Koizumi.

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