「NTT接待問題」と谷脇康彦総務審議官の更迭は何を問うか

昨日、総務省の谷脇康彦総務審議官がNTTの澤田純社長らと行った会食の内容が国家公務員倫理規定に違反する疑いがあるとして、大臣官房付に異動となり、事実上更迭されました[1]。

谷脇氏は、2月24日(水)に菅義偉首相の長男らから接待を受けていたとして処分されており[2]、2週間のうちに2度の処分を受けたことになります。

「菅首相長男の総務省幹部接待問題」に関する調査の際には今回の「NTT接待問題」が明らかにならず、報道によって事態が表面化しただけに、「前回調査の際に再三確認したにもかかわらず、新たな違反が疑われる行為が確認されたことは甚だ遺憾だ」という武田良太総務大臣の指摘[1]も、一定の妥当性があると言えるでしょう。

その一方で、報道がなければNTT側の接待が問題とならなかったことを考えれば、総務省による調査の限界、あるいは不十分さが窺われます。

それとともに、2週間のうちに幹部職員の懲戒処分が相次いで行われたことは、総務省に対する国民の信頼を損ねるだけでなく、日々職務に専念し、国家公務員倫理規程に違反する行為とはかかわりのない大体数の国家公務員の意欲を削ぐことに繋がりかねません。

従って、一連の出来事が電波行政や通信行政などを所管し、企業との利害関係の深い総務省に特有なのか、それとも幹部職員の規範意識の弛緩によるのか、あるいはその他の理由に基づくのか、当局が行うべき検証作業の意味は大きく、谷脇氏の更迭で事柄が収束するものではないという点は見逃せません。

そして、問われているのは、当局者が事態の究明と再発の防止に対する意欲の高さなのです。

[1]谷脇総務審議官を更迭. 読売新聞, 2021年3月8日夕刊1面.
[2]総務省接待 7人減給. 朝日新聞, 2021年2月25日朝刊1面.

<Executive Summary>
What Is a Meaning of the Replacement of Vice-Minister for Policy Coordination Yasuhiko Taniwaki? (Yusuke Suzumura)

Tanikawki Vice-Minister for Policy Coordination Yasuhiko Taniwaki was replaced by the reason of the "NTT Entertainment Problem" on 8th March 2021. It might be important for the authorities to realise the enforcement of official discipline.

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