NHK交響楽団の2021/2022シーズンの開幕によせて

明日、NHK交響楽団の2021/2022シーズンが始まります。

NHK響は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて2020年4月から6月までの定期公演を中止するとともに、9月から今年6月までは定期公演の代わりに月例公演として実施することを余儀なくされました。

「コロナ禍」という不可抗力によるとはいえ、1926年に前身の新交響楽団が発足して以来、太平洋戦争中も継続して行われた定期公演が中止となったことは、それだけ状況の困難さとともに、定期公演を行うためには演奏を行えるというだけではなく指揮者や独奏者、さらには一人ひとりの奏者が最良の状態になければいけないという楽団の強い意志を推察させるものでした。

一方で、毎月の公演を「2020年度9月公演」といった表記ではなく「NHK交響楽団9月演奏会」としたことは、NHK響が新シーズンには定期公演を再開させるという計画を背景にしていたことを示唆します。

その意味で、今回定期公演が再開することで、NHK響は初期の目標を達成したことになりますし、そのために関係者は種々の困難に直面しつつ、それらを一つひとつ克服したことでしょう。

もちろん、現下の状況では当初の予定の通り全ての公演を行うことは難しいく、すでに出演者の変更などが生じています。

それでも、今季で任期を満了する首席指揮者のパーヴォ・ヤルヴィの指揮により新しいシーズンを迎えられることは喜ばしく、来年6月まで定期公演が無事に行われることが願われるばかりです。

<Executive Summary>
Celebrating the Start of the NHK Symphony Orchestra's 2021/2022 Season (Yusuke Suzumura)

The New Season of the NHK Symphony Orchestra will start from 10th September 2021. In this occasion I celebrate this memorable opportunity for the orchestra.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?