「米ブルックス・ブラザーズの破綻」で思ったいくつかのこと

現地時間の7月8日(水)米国の衣料品店ブルックス・ブラザーズが日本の民事再生法に相当する連邦破産法第11条の適用を申請し、経営破綻したことを受け[1]、昨日、日本法人であるブルックスブラザーズジャパンが日本での事業の継続を発表しました[2]。

日本独自の商品を多く取り揃えていることと、米国本社とダイドーリミテッドの合弁会社であることが事業の継続が可能な理由として挙げられており、8月30日(日)に入居している建物の取り壊しに伴い閉店されるブルックスブラザース青山店に代わるブルックスブラザース表参道も、計画通り開店するとされています[2]。

ブルックスブラザーズジャパンに対するダイドーリミテッドの出資額は40%とされていますから[3]、新型コロナウイルス感染症の「パンデミック(世界的大流行)で加速した」[4]米国の衣料品業界における売り上げの不振の影響を免れることが出来たと言えるでしょう。

ところで、ブルックスブラザーズについて私が必ず思い出すのは、ごく私的な体験です。

すなわち、私が高校生の時に父から10本のネクタイを譲り受けた際、8本がブルックスブラザースの斜め縞の製品でした。

父が1970年代末から1980年代半ばにかけて買い求めたであろうネクタイは太さや長さの点で1990年代前半の基準からするとやや古風な印象を持ったものの、落ち着きのある配色や繊細な縞模様の具合などは、なかなか印象的で、私が自分自身でネクタイを揃えるまでは、頻繁に利用したものです。

その後はもっぱら青山店の前を往来するのみとなったものの、2年前には「日本独自の商品」であるハンカチを2枚ほど手にする機会を得るなど、私とブルックス・ブラザーズとの間柄は四半世紀を経ても依然として続いています。

それだけに、1818年の創業以来、南北戦争や二度の世界大戦を乗り越えてきたブルックス・ブラザーズ本社の再建が無事に進むことが願われるところです。

[1]Brooks Brothers, Founded in 1818, Files for Bankruptcy. The New York Times, 8th July 2020, https://www.nytimes.com/2020/07/08/business/brooks-brothers-chapter-11-bankruptcy.html (accesed on 10th July 2020).
[2]【株式会社ブルックス ブラザーズ ジャパン】営業について. ブルックスブラザーズジャパン, 2020年7月9日, http://www.brooksbrothers.co.jp/top/information/asp/news_detail.asp?article_code=1395 (2020年7月10日閲覧).
[3]ブルックス・ブラザーズ 日本は営業継続. 日本経済新聞, 2020年7月10日朝刊11面.
[4]米ブルックス・ブラザーズ破綻. 日本経済新聞, 2020年7月9日夕刊3面.

<Executive Summary>
We Wish for Resurrection of Brooks Brothers (Yusuke Suzumura)


Brooks Brothers, the retailer known for dressing the great and good of the United States since 1818, filed for bankruptcy on 8th July 2020, buckling under the pressure from the coronavirus pandemic. However we wish for its resurrection, since it is a kind of a symbol of an American traditional.

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