『クラシックの迷宮』の特集「森正とN響~NHKのアーカイブスから~」の持つ大きな意義

昨日のNHK FMの番組『クラシックの迷宮』では、今年生誕100年を迎えた指揮者の森正を特集しました。

フルート奏者から出発して指揮者となり、東京交響楽団、京都市交響楽団、東京都交響楽団の常任指揮者を歴任し、NHK交響楽団の正指揮者を務めるなど、日本の指揮者界の第一線で活躍し、楽壇の発展に大きく寄与したことは周知のとおりです。

今回の放送では、森と深い関わりのあったNHK交響楽団の定期公演や得意としたイタリア歌劇の諸作品、あるいは森の大きな功績の一つである同時代の作品の積極的な紹介の例として、NHK大河ドラマの3作品の主題曲の録音が紹介されました。

来年、1987年に65歳で没してから35年を迎える森の薫陶を受けた指揮者や音楽家は、現在でも多数活躍しています。

一方で、個性的な人柄で今も話題になる山本直純や指揮者としてだけでなく多数の著作によっても広く親しまれた岩城宏之などに比べ、一般への知名度という点で見劣りすることも否めません。

それだけに、こうした特集を通して、司会の片山杜秀先生が「どんな作品でも短期間に短時間で仕上げられる」、「フルート奏者出身という経歴を活かした歌心のある音楽作りを得意とした」と評した森正の音楽が紹介されることは大変に意義深いものです。

そして、このような取り組みの積み重ねが、より豊かな交響管弦楽の歴史を形成するのだと実感された次第です。

<Executive Summary>
"Labyrinth of Classical Music" Hands down Mori Tadashi's Achievements to Posterity (Yusuke Suzumura)

A radio programme entitled "Labyrinth of Classical Music" (in Japanese Classic no Meikyu) broadcasted via NHK FM featured Tadashi Mori and his performances on 28th November 2021. It might be a meaningful opportunity for us to understand Mori's efforts and achievements and hand down them to posterity.

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