NHK交響楽団第1946回定期公演

昨日は、NHK FMでNHK交響楽団の第1946回定期公演の実況中継を鑑賞しました。

今回は、前半にチャイコフスキーの『ロココ風の主題による変奏曲』、後半にムソルグスキー(ラヴェル編曲)の『展覧会の絵』が取り上げられました。チェロ独奏は佐藤晴真、指揮はガエタノ・デスピノーザでした。

前半のチャイコフスキーは、微笑みを絶やさず、しかも細部まで磨き上げられた艶やかな佐藤の演奏により、次々と移ろい行く音楽がより陰影深いものになりました。

一方、後半のムソルグスキーは、先日の第1945回定期公演におけるシェーンベルクの『浄められた夜』でコントラバスを効果的に活用したデスピノーザが、今回も低音の厚みをより豊かにすることで聞きなれた劇的な作品に一層の活気を与えていました。

NHK響も全体としては抑制された演奏を基調としつつ、終曲「キエフの大きな門」での交響楽的な濃密さを十分な瞬発力で描き出すなど、充実した仕上がりでした。

いずれも聞き手の耳に親しみのある作品であり、「通俗的な名曲を積極的に取り上げる」という定期公演Cプログラムらしい選曲を通して、佐藤の音楽的な感性と技術の確かさとデスピノーザの音楽作りの妙味を堪能することが出来たと言えるでしょう。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1946th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1946th Subscription Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre on 10th December 2021 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Tchaikovsky's ""Variations on a Rococo Theme" and Mussorgsky's "Tableaux d'une exposition" suit. Solo cello was Haruma Sato and conductor was Gaetano d'Espinosa.


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