ブラームスにまつわる書籍あれこれ

今日、ある友人からヨハネス・ブラームスに関する書籍の推薦の問い合わせがあり、私がこれまでに読んだブラームス関連の書籍のうち、現在も図書館などで閲覧しやすい11冊をご案内しました。

いずれも折に触れて私が手にしたものであるため、備忘的に各書籍の特長や妙味を出版された順に確認いたします。

(1)カール・ガイリンガー『ブラームス』(訳:山根銀二、現代芸術社、1975年)
ブラームス研究の権威であるガイリンガーによるブラームス伝の傑作で、山根銀二先生の味わいのある翻訳も読みごたえがあります。

(2)ジョゼ・ブリュイール『ブラームス』(訳:本田脩、白水社、1985年)
詩人でありシューベルトやリストなどの評伝でも知られるブリュイールが、ブラームスの内面に沈潜して大作曲家の人と音楽を再構築します。

(3)三宅幸夫『ブラームス』(新潮社、1986年)
ブラームスの生涯を人間関係の丹念な描写と豊富な図版により活き活きと描き出す、気軽に読めて含蓄に富む一冊です。

(4)ハンス・ノインツィヒ『ブラームス』(訳:山地良造、音楽之友社、1994年)
音楽之友社の「大作曲家シリーズ」の1冊で、ブラームスの生涯を丹念に描き出す正統派の評伝です。

(5)日本ブラームス協会『ブラームスの「実像」』(音楽之友社、1997年)
ブラームスの唯一の弟子であるグスタフ・イェナーなどの回想録を初めとして、良質な一次資料に基づいてブラームスのありのままの姿を描き出します。

(6)門馬直美『ブラームス』(春秋社、1999年)
スコアの解説でも馴染み深い門馬直美先生による、ドイツ・ロマン派の大作曲家としてのブラームスの生涯を丹念に辿ります。

(7)アルベルト・ディートリヒほか『ヨハネス・ブラームスの思い出』(訳:天崎浩二・ 関根裕子、音楽之友社、2004年)
「ブラームス回想録集」全3巻の第1巻で、手紙や日記、あるいはクララ・シューマンの弟子たちの回想録からブラームスの実像に迫ります。

(8)リヒャルト・ホイベルガーほか『ブラームスは語る』(訳:天崎浩二・ 関根裕子、音楽之友社、2004年)
「ブラームス回想録集」全3巻の第2巻は、ブラームスの作曲家論や音楽論、さらに蝋管録音に挑む様子などを、多数の写真とともに紹介します。

(9)オイゲーニエ・シューマンら『ブラームスと私』(訳:天崎浩二・ 関根裕子、音楽之友社、2004年)
「ブラームス回想録集」全3巻の第3巻では、6人が描くブラームス像を通して一人の人間としてのヨハネス・ブラームスのあり様をわれわれに伝えます。

(10)西原稔『ブラームス』(音楽之友社、2006年)
「作曲家・人と作品シリーズ」の一冊で、生涯、作品の分析、年譜を収めた、ブラームス論の基礎となる好著です。

(11)クライヴ・ブラウンら『ブラームスを演奏する』(訳:天崎浩二・福原彰美、音楽之友社、2020年)
文献、、手紙、当時の録音などの一次資料を活用し、演奏の実際からブラームスの音楽の核心に迫る、最新の研究成果を踏まえた興味深い一冊です。

<Executive Summary>
Eleven Selected Books Concerned with Johannes Brahms (Yusuke Suzumura)

One of my friends asked me to recommend books concerned with Johannes Brahms. In this occasion I introduce eleven selected books with brief comment.

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