ドミンゴ・ヘルマン投手の完全試合達成を讃える

現地時間の6月28日(水)、オークランド・コロシアムで行われたニューヨーク・ヤンキース対オークランド・アスレティックス戦で、ヤンキースのドミンゴ・ヘルマン投手が大リーグとしては11年ぶり24回目の完全試合を達成しました。

ヘルマン投手は99球を投げて9つの三振を奪い、ヤンキースも11点を挙げてアスレティックスに勝利しました。

ヤンキースの投手が完全試合を達成したのは1999年7月18日のデビッド・コーン投手以来24年ぶりのことで、1956年のワールド・シリーズで完全試合を記録したドン・ラーセン投手を含めれば3人目の快挙となります。

2017年にヤンキースに昇格し、2019年に18勝を達成したものの、前日までの通算成績は30勝26敗、今季も4勝5敗で先発5番手のヘルマン投手が完全試合を実現すると予想した人はほとんどいなかったでしょう。

しかし、実際には99球のうち72球がストライクであり、例年に比べて制球力と投球の質が向上していたヘルマン投手が、その持ち味を遺憾なく発揮できたことが、野手陣の好守と相俟って今回の快挙に繋がったことが推察されます。

ところで、これまで完全試合を達成した投手を眺めると、球史に冠たるサイ・ヤングやサンディー・コーファクスなどが名を連ねるとともに、各球団の有力な投手ではあっても野球殿堂入りするような顕著な成績を残していない投手も含まれることが分かります。

また、緻密な制球力で知られたグレッグ・マダックスや速球によって互いに競い合うように最多奪三振を記録したランディ・ジョンソンやロジャー・クレメンスといった1980年代から2000年代初頭にかけて投手たちや、歴代最多の7回の無安打無得点試合を記録しているノーラン・ライアンなどが完全試合を実現していないことは、どれほどの大投手であっても限られた機会を手にすることが難しいことを示します。

それだけに、ヘルマン投手が偉大な試合を作り出したことは、試合開始前はどの先発投手も完全試合の可能性を秘めつつ、実際には1球を投げるごとにその可能性が低下するという現実を考えるだけでも、様々な困難を超えた末に到達したもとなります。

次の試合は、ヘルマン投手に対して、2試合連続での完全試合や無安打無得点試合への期待が寄せられることでしょう。

そして、そのような期待の中でヘルマン投手がいかなる投球を披露するのか、そして今後どのような投手としてさらなる成長を遂げるのか、これからの軌跡が大いに注目されます。

<Executive Summary>
Celebrating Mr. Domingo Germán's Great Perfect Game (Yusuke Suzumura)

Mr. Domingo Germán, a pitcher for the New York Yankees, pitched the perfect game againt the Oakland Athletics on 28th June 2023. It was the 24th time for the history of the MLB and we celebrate this mermoial and remarkable achievement by Mr. Germán.

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