『クラシックの迷宮』の特集「2021年 逝ける音楽家をしのんで」が示した「クラシック」の枠組みの多様さ

今日のNHK FMの番組『クラシックの迷宮』は、2021年に没した音楽家を取り上げ、その活動の軌跡や音楽界の発展への寄与などを振り返る特集「2021年 逝ける音楽家をしのんで」でした。

紹介されたのは日本の国内外の音楽家で、ジェームズ・レヴァインや尾高惇忠、ルイ・アンドリーセンから伊藤京子まで様々な顔ぶれが並びました。

『クラシックの迷宮』は主題の設定や選曲の妙がひときわ印象的な番組であり、毎回趣向の凝らされた内容は司会の片山杜秀先生の音楽や社会、文化などに関する該博な知識をよく表しています。

その年に長逝した音楽家を取り上げる今回の特集も毎年の恒例とはいえ、例年以上に幅広い層の人々から親しまれた音楽家が亡くなったことは、小林亜星やすぎやまこういち、菊池俊輔の名前を見るだけでも明らかです。

そして、テレビ番組やゲーム音楽の分野で活躍した音楽家たちの代表的な作品を紹介することは、「クラシック」の枠組みが交響管弦楽や歌劇などに留まらず、かつての作曲家が歌劇を総合芸術と捉えたように、現在の作曲家にとってはテレビドラマやテレビゲームが総合芸術の一角をなしていることを示しています。

この点でも、今回の特集は、改めてわれわれに「クラシック」が固定した枠組みではなく、絶えず変化し、発展する分野であることを教えていると言えるでしょう。

<Executive Summary>
"Labyrinth of Classical Music" Shows a Meaning of "Classical Music" in the 21st Century (Yusuke Suzumura)

A radio programme entitled "Labyrinth of Classical Music" (in Japanese Classic no Meikyu) broadcasted via NHK FM featured musicians and artists who had passed away in the year 2021. It might be a meaningful opportunity for us to understand a meaning of "classical music", since featured people were not only a conductor or a singer but also a composer of TV dramas and video games.


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