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NHK交響楽団第2017回定期公演

去る9月19日(木)、20日(金)にNHK交響楽団の第2017回定期公演がサントリーホールで行われ、本日NHK FMで第1日目の実況録音が放送されました。

今回は、前半にシューベルトのイタリア風序曲とシューマンのピアノ協奏曲が、後半にベートーヴェンの交響曲第7番が演奏されました。ピアノ独奏はエレーヌ・グリモー、指揮はファビオ・ルイージでした。

第2017回定期公演はいずれも軽やかさと微笑みとを特徴とする作品が並んでおり、一つの公演としてまとまりのある選曲となっていました。

とりわけシューマンは均整の取れた構成と洗練された展開が印象的であることは周知の通りであり、こうした特長を持つ作品をグリモーが華やかさとともに繊細な表情をのぞかせながら演奏したことは、聞き手の注意を惹き付けるものでした。

実際、第2楽章から第3楽章へと間断なく移行する際に立ち現れた一瞬のゆらぎは、グリモーのゆとりさえ感じさせるものであり、独奏と伴奏の絶妙な位置取りとともに充実した演奏を実現しました。

また、ベートーヴェンは、後にワーグナーが「最高の舞踏」と称揚した躍動感に満ちた音楽をある時に濃厚に、またある時は軽快に演奏することで、作品が求める水準をよく満たしていました。

それとともに、どれほど快活な箇所でも決して喧噪へと陥らないところに、ルイージと楽団との意思の疎通の細やかさが窺われました。

一方、小品ではありながら今回の公演の性格を最もよく象徴したのがシューベルトで、明るく朗らかな旋律の間から息の長いロッシーニ・クレッシェンドが現れるところも愉快なものでした。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 2017th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 2017th Subscription Concert at the Suntory Hall on 19th and 20th September 2024. In this time, they played Schubert's Overture in the Italian Style, Schumann's Piano Concerto and Beethoven's 7th Symphony. Solo piano was Hélène Grimaud and conductor was Fabio Luisi.

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