こどもの日に際しよりよいこども政策の実現を期待する

今日はこどもの日です。

「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」[1]という国民の祝日としてのこどもの日の意味は、制定された当時も今も変わらない、重要なものです。

もちろん、「母に感謝する」という一文については、育児は男女がともに参画するものという現在の通念に照らせば、過去のものかも知れません。

それでも、母胎を経てこの世に送り出されるという一点に限っても、生命の誕生に果たす母の役割にこどもが改めて思いを致す大切な手掛かりを提供するということになるでしょう。

それとともに、今年4月1日にこども家庭庁が発足し、岸田文雄首相も少子化対策を政権の最重要課題の一つに掲げるなど、現在の日本はこども政策の転換期を迎えていることは明らかです。

この時、重要であるのはこどもに対する政策をいかなる理念に基づいて立案するかということです。

すなわち、こどもの数が減少しているとはいえ、毎年80万近い新たな生命が誕生しています。また、1982年から42年連続で減少するとはいうものの、今年4月1日時点での15歳未満の男女も1435万人います[2]。

このように考えれば、為政者、当局者には、一人ひとりのこどもが「生まれてこなければよかった」「こんな世の中は嫌だ」と思うことがないよう、こどものあり方に即した政策の実現が求められることは論を俟ちません。

そして、この時、他のあらゆる政策と同様にこども関連の政策が利権化し、こどもの利益ではなく政治家や官僚、あるいは事業者の利益が優先されることがあってはなりません。

こどもの日に際し、改めて関係者の注意を喚起し、よりよいこども政策の実現を期待するところです。

[1]国民の祝日に関する法律, 第二条.
[2]子ども1435万人最少. 日本経済新聞, 2023年5月5日朝刊1面。

<Executive Summary>
What Is a Meaning of Children's Day? (Yusuke Suzumura)

The 5th May is Japan's national holiday, Children's Day. On this occasion, we examine a meaning of this day based on the purpose of the holiday.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?