「子ども家庭庁」設置の閣議決定を機に改めて省庁再編の断行を求める

昨日、政府が2023年度の出来る限り早い時期に内閣府の外局として「こども家庭庁」を設置することを閣議決定し、内閣官房に準備室を設けました[1]。

「こども家庭庁」には内閣府子ども・子育て本部と厚生労働省子ども家庭局を移管するものの、幼稚園、保育所、認定こども園を「こども家庭庁」の所管とする当初案については幼稚園が文部科学省の管轄のままとなり[2]、「子ども政策の一元化」は果たされませんでした。

また、「子どもは家庭でお母さんが育てるもの」という「参院のベテラン議員」の意向などもあり「こども庁」の名称が「こども家庭庁」となったという経緯[3]は、一部の国会議員の見識を疑わせるだけでなく、「子ども政策」に対する政権の意欲の程度が危ぶまれるものです。

それでも、名称や管轄事項の問題があるとはいえ、子どもに関する政策を専門に所管する大臣庁が設置される意味は大きいものです。

特に、今後一層進展することが確実な少子高齢化と人口の減少という状況にいかにして実効的な対策を講じるかは国家の最重要課題だけに、「こども家庭庁」が有効な政策を立案、実施することが期待されます。

その一方で、デジタル庁に続いて新たな大臣庁が設置される一方で既存の省庁の統廃合が具体的に検討されないことは、冗費冗官の削減の点からも問題であることに変わりません。

もとより、省庁の再編により大臣職が減少することは政治家にとって栄達の道が狭まることを意味することに他なりません。そのため、与野党を問わず熱心な議論がなされないのも無理からぬところです。

しかし、2001年1月の省庁再編から20年を経て日本国内だけでなく国際情勢も変化する中で既存の行政機構のあり方を不断に改めることは重要な取り組みです。

政策の決定と実行の過程を迅速にするとともに機構統治を明朗にするためにも、政府には省庁再編を積極的に行うことが求められます。

その意味でも、岸田政権が本格政権を目指すのであれば、行政改革を遂行する意欲が不可欠なのです。

[1]こども家庭庁、23年度創設. 日本経済新聞, 2021年12月21日夕刊1面.
[2]「子どもシフト」遠く. 日本経済新聞, 2021年12月22日朝刊3面.
[3]「子どもは家庭でお母さんが…」 こども家庭庁を選んだ政治家の意識. 朝日新聞, 2021年12月20日, https://www.asahi.com/articles/ASPDN6RXNPDNUCLV003.html (2021年12月22日閲覧).

<Executive Summary>
Setting the Agency for Children and Families Is a Good Opportunity to Reorganisation of Ministries (Yusuke Suzumura)

The Kishida Cabinet decided to set the Agency for Children and Families in the Fiscal Year 2023 on 21st December 2021. In this occasion we require the Government to conduct the reorganisation of ministries.


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