NHK交響楽団第2003回定期公演

去る1月24日(水)、25日(木)にサントリーホールにおいてNHK交響楽団の第2003回定期公演が行われ、2月3日(土)にNHK FMで第1日目の実況録音が放送されました。

今回は、前半にモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲、後半にベートーヴェンの交響曲第3番『英雄』が演奏されました。ヴァイオリン独奏は郷古廉、ヴィオラ独奏は村上淳一郎、指揮はトゥガン・ソヒエフでした。

普段はオーケストラの中音域を担い、その音が演奏会場に力強く響く機会の少ないヴィオラながら、弦楽器の源流として占める位置が重要であることは論を俟ちません。

その様なヴィオラに焦点を当て、豊かな魅力を伝えるがモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲です。

明快な構成と簡潔な旋律を村上のヴィオラが素直に表現する様子は、終始控え目な郷古のヴァイオリンを得て、微笑みを絶やさない演奏を生み出しました。

伴奏の管弦楽も独奏者をよく追いかけており、十分に練り上げられた仕上がりとなっていました。

また、後半のベートーヴェンは冒頭の2つの音に演奏者の集中力の高さがよく示されていました。

そこに、近年の主流となっているベートーヴェンによる速度の指示を尊重しようとする立場によるソヒエフが演奏者を牽引することで、躍動感と軽快さがより強調される内容となりました。

特に第3楽章でのホルンの三重奏の印象が残る中で始まった第4楽章の疾走感の強さは今回さの演奏の特徴をよく表現しており、「英雄」という愛称が長らく持っていた大言壮語的な表情を和らげるために力を発揮しました。

今回は、作品のあるがままの姿に迫ろうとするソヒエフの姿勢がモーツァルトとベートーヴェンを通して過不足なく聞き手に伝えられた、充実した公演になったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 2003rd Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 2003rd Subscription Concert at the Suntory Hall on 24th and 25th January 2024 and the first day was broadcast via NHK FM on 3rd February 2024. In this time, they performed Mozart's Duo for Violin and Viola and Beethoven's 3rd Symphony. Solo violin was Sunao Goko and solo viola was Junichiro Murakami. Conductor was Tugan Sokhiev.

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