大谷翔平選手が「大リーグのホームランダービー」に出場した意義は何か

現地時間の7月12日(月)、大リーグのコロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドでオールスター戦の前夜祭に当たるホームラン競争が行われました。

今回出場したのは、大谷翔平、ジョーイ・ギャロ、マット・オルソン、サルバドール・ペレス、ピート・アロンソ、トレイ・マンシーニ、トレバー・ストーリー、ホアン・ソトの8選手で、2019年に行われた前回のホームラン競争で優勝したニューヨーク・メッツのアロンソ選手が史上3人目となる連覇を果たしました。

今年は大リーグ史上初めて日本人選手が出場したということもあり、NHK総合テレビが実況中継を行いました。

従来、NHKは衛星放送第一の番組『きょうの大リーグ』や、2017年と2018年のオールスター戦の中継で放送していたものの、地上波では今回が初めての中継となります。こうした措置は異例なだけに、それだけ、大谷翔平選手が出場するホームラン競争の社会的な注目の度合いが高かったことを推察させます。

結果として、大谷選手はソト選手と対戦した第1回戦で28本塁打を放ち、31本塁打の外選手に及ばず敗退しました。しかし、勝敗のいかんにかかわらず、大谷選手は日本の視聴者の皆さんに対して大きな役割を果たしました。

すなわち、今回のホームラン競争では今年1月22日に逝去した、大リーグ歴代2位の通算本塁打755本の記録を持つハンク・アーロンさんを追悼し、出場選手8名が全員アーロンさんの背番号「44」を記したユニフォームを着用しました。

アーロンさんは大リーグ史に燦然と輝く大打者であるばかりでなく、オールスター戦についても史上最多の21回の出場し、出場試合数もスタン・ミュージアル、ウィリー・メイズとともに歴代1位の24試合を記録しており、文字通りオールスター戦の歴史にも欠かせない大選手でした。

その意味でも、こうした取り組みは故人の顕彰の点から意義深いものでした。

しかも、一人の偉大な選手の活躍は、われわれ野球史に携わるが多くの言葉を費やしても伝えられない事柄を広く教える効果があります。

大谷選手が出場するからという理由でホームラン競争の中継を視聴した皆さんが「なんでみんな背番号が『44』なの」と思うことは、アーロンさんの事績を現在に伝えるために重要な機会となります。

それだけに、大谷選手はホームラン競争の結果いかんを超え、大リーグの歴史をわれわれに伝えるために大きく貢献しました。

そして、この点にこそ、今回大谷選手がホームラン競争に出場した意義があると言えるでしょう。

<Executive Summary>
Mr. Shohei Ohtani Contributes to Our Knowledge of the History of American Baseball (Yusuke Suzumura)

The Home Run Derby 2021 of the Major League Baseball was held on 12th July 2021 and Mr. Shohei Ohtani of the Los Angeles Angels joined the competition. Mr. Ohtani contributes to our knowledge of the history of the MLB, since he uses uniform number "44" to the memory of Mr. Hank Aaron, the great figure of the MLB, and it might be the first step for us to understand the meaning of this arrangement.

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