『松尾潔のメロウな夜』の放送終了に際して思ういくつかのこと

本日、NHK FMの番組『松尾潔のメロウな夜』の放送が終了しました。

2009年8月13日(木)の特別番組としての放送を経て2010年3月31日(水)から始まったこの番組は、2013年4月1日(月)から月曜日に移りました。

これ以降、月曜日の夜更けの時間に欠かせない番組として今日に至っています。

「メロウ」を主題に松尾潔さんが通暁するR&Bを中心とする作品を紹介する『松尾潔のメロウな夜』は、「大人が楽しめる」という言葉通り、様々な作品を取り上げる、実り多い番組です。

ただ、NHKが経費削減などを主たる理由として、2026年度からラジオ第一とラジオ第二と2波あるAMラジオを1波削減する方針に伴い、ラジオ第二で放送している語学番組を月曜日から金曜日の23時台のFMに移行させることを決めました。

この時間帯は長らく日本のポップスや洋楽を取り扱う番組の枠として聴取者に親しまれてきたものの、AMラジオの1波削減という経営方針に比べればより軽いものです。

そのため、月曜日から金曜日の23時台に放送されている5つの番組は、『THE ALFEE 終わらない夢』が2024年4月から13時に移るのを除いてすべて放送を終了することになります。

ところで、私がそれまで不定期で耳を傾けていた『松尾潔のメロウな夜』を毎週聴取するようになったのは2023年1月と、ごく最近のことでした。

次男が2023年1月14日(土)に誕生し、夜の寝かし付けやミルクを挙げる際に聞き始めたところ、松尾潔さんの選曲と、一つひとつの作品に対する示唆に富む解説が興味深く、これ以降毎回選局するようになったのでした。

これは、一面において私が2018年5月に妻と新たな生活を始めて以来家庭の中心にラジオが欠かせなくなり、それまで欠かさず聞いていたNHK FMやラジオ第二の管弦楽に関連する番組以外にも、様々な番組を耳にするようになり、興味と関心の範囲が広がった結果であったと言えます。

それとともに、他面では松尾潔さんの抑制された進行と選曲が「憂鬱な月曜日の夜をメロウに」という番組の趣旨をよく反映し、良質で上質な構成となっていたことも見逃せません。

それだけに、こうした良心的な番組が終了することは、聴取者の一人として大変残念に思われるものです。

また、2019年3月303日(土)に愛聴していた『きこえタマゴ』が終了した際にも実感されたように、日頃から耳を傾ける番組が終わる際にはひとき惜別の念が抱かれるところです。

番組の終わりに毎回松尾潔さんが「楽しい時間ほど早く過ぎてしまうもの。今週もそろそろお別れの時が迫ってきました。」という一言は、吉田秀和先生がNHK FMで担当されていた『名曲のたのしみ』を毎回「それじゃ、また」と締めくくられていたのに並ぶ、私にとっては印象深い場面です。

最終回となった今回の放送では、番組として初めてとなる生放送が敢行され、松尾潔さんが自らの信条を投影した作品を選ぶことで、ひときわ印象深い回となりました。

聴取者からの投稿では番組の終了を惜しむとともに、NHK FMが松尾潔さんを司会者とする新たな番組を開始することを願う声が多数紹介されていました。

こうした聴取者の声が遠からず現実のものとなることを期待しつつ、松尾潔さんの14年にわたる番組の進行に謝意を表する次第です。

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions for "Kiyoshi Matsuo's Mellow Night" (Yusuke Suzumura)

A radio programme of the NHK FM "Kiyoshi Matsuo's Mellow Night" finished today. On this occasio, I express my miscellaneous impressions of the programme.

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