NHK交響楽団の2021-22楽季定期公演の終了に際して思ったいくつかのこと

去る6月23日(木)、NHK交響楽団の2021-22楽季の定期公演がすべて終了しました。

新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で始まった今季の定期公演は、2022年1月27日(木)に開催の第1950回定期公演の第2日目が中止になり、首席指揮者であるパーヴォ・ヤルヴィと最後の共演となるはずであった2022年2月の定期公演が入国制限により来日できず、登壇が実現しなかったことなどは、楽団だけでなく聞き手にとっても痛恨事でした。

あるいは、公演は開催されたものの実施直前になって出演者が変更される事例もあり、演奏者はもとより楽団事務局の苦労のほどが偲ばれました。

その一方で、2020-21楽季に中止となった定期公演に代わって行われた毎月の公演の際に起用された日本人の指揮者が引き続き出演し、あるいは独奏者にもこれまで定期公演に登場する機会のなかった中堅や若手が抜擢されたことは、昨季の人選が一過的なものではなく、団の今後を見据えた措置であったことを改めて伝えるものとなりました。

あるいは、第1コンサートマスターの篠崎史紀の「後継者」を育成すべく定期公演での役割分担をさらに進めたことも、団の一層の発展のために重要な施策でした。

今年9月にはファビオ・ルイージが首席指揮者に就任し、ヤルヴィが新たに名誉指揮者になる新体制により、新しい楽季が始まります。

来季は改修工事の済んだNHKホールでAプログラムとCプログラムが行われることも含め、「コロナ禍」という困難の中で最大限の努力と予想されうる中で最も意義ある成果が得られた、2021-22楽季節でした。

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of the NHK Symphony Orchestra's 2021-2022 Season (Yusuke Suzumura)

The Subscription Concerts of the NHK Symphony Orchestra's 2021-2022 Season finished on 23rd June 2022. In this occasion we examine a meaning of the season for the orchestra.

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