【参加報告】名城大学難民映画祭2024

去る7月15日(月、祝)、名城大学難民映画祭2024に参加しました。会場は名城大学ナゴヤドーム前キャンパスDS101教室でした。

今回初めて開催された映画祭は、名城大学外国語学部の同僚であり国際協力や平和構築を専門とする宮下大夢先生のゼミが主催したもので、在日ミャンマー人一家に起きた出来事を通して日本における難民問題を考える映画『僕の帰る場所』(監督:藤元明緒、2017年製作)が上映されました。

難民申請の手続きを知らず、故国を逃れて来たものの、入国管理局に不法滞在として父を逮捕された一家に焦点を当て、日本で生まれ育ち、日本語しか話せない兄弟と、子どもたちを育てるために来日後に覚えた日本語で意思の疎通を図る母の葛藤と衝突、そしてミャンマーに帰国した3人が直面する言語や文化、環境の違いを描くことで、人の移動を取り巻く現状を象徴的に伝えるのが本作です。

出演者の行動を先回りするカメラの動きから、本作が記録映画の体裁をとりつつ、実際には所定の筋立てに従って撮影された作品であることは明らかです。

しかし、国籍はミャンマーながらミャンマー語ではなく日本語しか話せず、自らを日本人と規定する兄カウンの姿は、言葉と自己のあり方の認識の関係を考える上で重要な手掛かりを与えるだけでなく、法律という自らの力の及ばない存在によって翻弄される一人の人間の姿をも明瞭に描き出します。

何より、世界的な課題となっているものの、現在の日本においては必ずしも広く知られているとは言えない難民を取り上げ、映画の形で日本における難民の問題を析出する『僕の帰る場所』は意義深い作品です。

それだけに、こうした映画を取り上げる映画祭が開催されたことは教育上も大きな価値を持っており、日頃から実践的に学生を指導される宮下大夢先生の取り組みに敬意を表する次第です。

なお、今回の難民映画祭の詳細や宮下先生の談話については名城大学公式ウェブサイトで公開されています。ぜひご覧ください。

*名城大学公式ウェブサイト
https://www.meijo-u.ac.jp/news/detail_30295.html

<Executive Summary>
Meijo University Refugee Film Festival 2024 (Yusuke Suzumura)

Associate Professor Dr Hiromu Miyashita held the MEijo University Refugee Film Festival 2024 at Meijo University on 15th July 2024. On this occasion, the film "Passage of Life" was played.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?