NHK交響楽団2021年6月サントリーホール公演

昨日は、18時から19時55分まで、NHK FMでNHK交響楽団の2021年6月サントリーホール公演を聴取しました。

今回は、井上道義の指揮により、前半にシベリウスの交響曲第7番、後半にベートーヴェンの交響曲第3番『英雄』が演奏されました。

思索的な交響曲第7番を、作曲者の内面に沈潜することで一つの音楽として組み立て直す様らは、シベリウスが何故単一の楽章で筆を止めたのか、あるいは一つひとつの音にいかなる意味があるのかを聞き手に問いかける、挑戦的なものでした。

また、後半のベートーヴェンの交響曲第3番はティンパニを効果的に活用して進行を引き締める点が特に印象的で、可能な限り装飾を削り落として各旋律を浮き上がらせ、それらを一つの大きな音楽へと撚り合わせることで、躍動感に満ちた演奏が生まれました。

1805年の初演の時では異例の長編となった英雄交響曲は全ての音符が配置されるべき場所に配置されており、一つとして無駄がなかったことをわれわれに改めて実感させたという意味で、今回のベートーヴェンの演奏も、力強さに溢れるものでした。

実績の点で大家と呼ばれるにふさわしい中で、今も「今日はどんな演奏だろう」、「何かやってくれるだろう」と聞き手に期待感を抱かせ続ける井上の持ち味が遺憾なく発揮された、この日の公演であったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra June Concert at the Suntory Hall (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the June Concert at the Suntory Hall and broadcasted via NHK FM on 5th June 2021. In this time they performed Sibelius' 7th symphony and Beethoven's 3rd symphony. Conductor was Michiyoshi Inoue.

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