NHK交響楽団第1972回定期公演

昨日は、NHKホールにおいてNHK交響楽団の第1972回定期公演が行われ、NHK FMの実況中継で鑑賞しました。

今回はモーツァルトの交響曲第36番とメンデルスゾーンの公共くよく第3番が取り上げれました。指揮はファビオ・ルイージでした。

リンツとスコットランドと、いずれも旅先で作曲され、あるいは旅先で曲想を得た作品を揃えた今回は、情感豊かなモーツァルトに一貫して軽やかさを失わないメンデルスゾーンというように、ルイージによる端正な音楽作りと演奏者の意思の疎通の円滑さがよく示されていました。

すなわち、モーツァルトでは第1楽章の序奏における、1段ずつ着実に進みつつ最後に跳躍する印象的な旋律の演奏に聞き手の注意を集めて逸らさない濃密さがあり、この箇所だけでも両者の緊密な間柄を知るには十分な証拠となります。

また、メンデルスゾーンは特に曲想が頻繁に変わる第4楽章において、最後まで金管楽器が艶やかさを保ち続けた点に、近年の演奏者の水準の向上とともに、それまでの3つの楽章での演奏の組み立て方にルイージの細かな差配の後が認められたものでした。

NHK交響楽団の定期公演のうちCプログラムは休憩時間を設けず、70分から80分で終了するという体制に移行し、これまで様々な曲目が取り上げられています。

この点に楽団が試行錯誤を繰り返しつつ新しい形式をより充実させようという意欲が見て取れるとともに、今回のような「旅先」を手掛かりとした選曲はCプログラムの可能性の幅を広げたと言えるでしょう。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 1972nd Subcription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1972nd Subscription Concert at the NHK Hall and broadcasted via the NHK FM on 9th December 2022. In this time they performed Mozart's 36th Symphony and Mendelssohn's 3rd Symphony. Conductor was Fabio Luisi.

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