NHK交響楽団第1937回定期公演

今日は、NHK FMでNHK交響楽団の第1937回定期公演の実況中継を聴取しました。

今回は、前半にヨハン・セバスティアン・バッハの組曲第3番、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハのシンフォニア変ロ長調及びニ長調、後半にハイドンの交響曲第98番が演奏されました。指揮は鈴木秀美でした。

当初の予定では指揮がトン・コープマン、チェロ独奏がニコラ・アルトシュテットであったものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い海外からの入国制限のため来日が難しくなり、曲目と出演者を変更の上で今回の定期公演が行われました。

NHK響とは初めての共演となった鈴木秀美は、演奏者としても指揮者としてもいわゆる古楽の分野に通暁することで知られており、これまでロジャー・ノリントンやクリストファー・ホグウット、さらにコープマンといった斯界の先達を招聘して経験を重ねています。また、パーヴォ・ヤルヴィやヘルベルト・ブロムシュテットといった指揮者も古楽的な奏法や配置を応用しています。

それだけに、今回の顔合わせがどのような新しい音楽に繋がるかは興味深く思われました。

結果としては、鈴木とNHK響の演奏は期待を上回る内容で、いずれの作品においても各楽器の特徴を的確に押さえ、芯が太く彫の深い、それでいて飾り気のない音楽を作り出していました。

特に細かな節回しに一体感がよく表れていたことは、指揮者と演奏者の意思の疎通の円滑さを示す重要な手掛かりでした。

これまで共演の機会のなかった指揮者や独奏者を迎え、新しい音楽を作り上げる場を得たという意味において、第1937回定期公演の意義は両者にとって大きいと言えるでしょう。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1937th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1937th Subscription Concert at the Suntory Hall on 15th September 2021 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Bach's Suite No. 3, C. P. E. Bach's Sinfonia B-flat Major and D Major, and Haydn's 98th symphony. Conductor was Hidemi Suzuki.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?