NHK交響楽団第1933回定期公演

昨日は、19時からNHKホールにおいてNHK交響楽団の第1933回定期公演を聞きました。

今回は、いずれもショスタコーヴィチの作品が取り上げられ、前半にバレエ組曲第1番とチェロ協奏曲第2番、後半に交響曲第5番が演奏されました。チェロ独奏はアリサ・ワイラースタイン、指揮はラファエル・パヤーレでした。

昨夜は所用により前半のみの鑑賞であったため寸評は差し控え、以下に所感をご紹介します。

NHK響の定期公演を初めて指揮するパヤーレは細身の背広に灰色のベスト、そして蝶ネクタイという、いかにも洗練された衣装が会場の人目を惹きました。

そして、そのような身づくろいの下に隠された、鍛えられた筋肉を最大限活用した躍動的な棒捌きはやや情報の量が多かったものの演奏者を牽引して曲を作り上げようという意欲が前面に現れたものであったと言えます。

ショスタコーヴィチの映画音楽『新バビロン』を連想させる諧謔さと情感的な豊かさに溢れたバレエ組曲第1番は、パヤーレの雄弁な指揮との相性が良く、金管楽器がやや安定さを欠いたものの、聞き映えのする演奏となっていました。

一方、第2曲目のチェロ協奏曲第2番は独奏のワイラースタインが難解な作品に正面からぶつかって一歩も引かない演奏を披露したことで、独奏者と指揮者の波長が合ったのか、旋律が渦巻く演奏となりました。

こうした演奏もこの作品の一つの表現の形式ではあろうものの、ワイラースタインが力の配分を工夫するか、パヤーレが伴奏に抑揚を与えていれば、より陰影に富んだ演奏となってであろうだけに、高揚感の高さに終始したことは、かえって惜しまれるところでした。

いずれにせよ、成長の途上にあるパヤーレが、次の機会でどのような音楽を披露するか、興味深く思われるところです。


<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1933rd Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1933rd Subscription Concert at the NHK Hall on 31st January 2020. In this time they performed Shostakovich's Ballet Suite No. 1, Cello Concerto No. 2 and the 5th Symphony. Solo cello was Alisa Weilerstein and conductor was Rafael Payare.

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