NHK交響楽団第1945回定期公演

昨日は、NHK FMでNHK交響楽団の第1945回定期公演の実況中継を鑑賞しました。会場は東京芸術劇場コンサートホールでした。

今回は、前半にブラームスの『ハイドンの主題による変奏曲』とバルトークのピアノ協奏曲第3番、後半にシェーンベルクの『浄められた夜』が取り上げられました。ピアノ独奏は小林海都、指揮はガエタノ・デスピノーザでした。

デスピノーザのしなやかであたかも微笑みを湛えるかのような音楽作りがよく発揮されたのはブラームスで、次々と移り行き、変化する主題を丁寧に扱いつつ、時に愉快に、時に重厚な演奏を生み出しました。

第2曲目のバルトークは、独奏の小林が譜面の丁寧な理解に基づく繊細な演奏を行い、伴奏も小林を守り立てつつ過度に控え目にならない、起伏に富んだ内容となりました。

一方、後半のシェーンベルクはNHK響が得意とする作品でもあり、コントラバスの効果的な活用による安定した基礎の上に、情感の豊かさと儚さとを秘めた旋律が繊細に表現され、聞き映えのする仕上がりとなっていたと言えるでしょう。

ヴァイオリン奏者として出発したデスピノーザはファビオ・ルイージの助言に従い、指揮者に転向しています。

来年9月からNHK響の首席指揮者を務める予定のルイージとの間柄が緊密であること、さらに山田和樹の代役として急遽出演したことを考えれば、今後デスピノーザとNHK響との関係はより親密なものになると考えられた、今回の公演でした。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1945th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1945th Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre on 5th December 2021 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Bahms' Variationen über ein Thema von Haydn, Bartók's 3rd Piano Concerto, and Schönberg's Verklärte Nacht. Solo piano was Kaito Kobayashi and conductor was Gaetano d'Espinosa.


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