NHK交響楽団第1959回定期公演

昨日は、NHK交響楽団の第1959回定期公演をNHK FMの実況中継で鑑賞しました。会場は東京芸術劇場コンサートホールでした。

今回は前半にデュカスのバレエ音楽『ペリ』とラヴェルの『シェエラザード』、後半にドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』とフロラン・シュミットのバレエ組曲『サロメの悲劇』が演奏されました。ドビュッシーでのメゾ・ソプラノの独唱はステファニー・ドゥストラック、指揮はステファヌ・ドゥネーヴでした。

華やかさと荘厳さを備えた金管楽器の吹奏に始まる『ペリ』、幻想的で抒情的な『牧神の午後への前奏曲』、耽美的で劇的な『サロメの悲劇』と彩り豊かな曲が並ぶ中で、とりわけ印象深いのはラヴェルの『シェエラザード』でした。

独唱のドゥストラックの陰影に富んだ歌唱は明快な、歌い口とともに起伏に富む作品をより立体的に描き出しました。

また、あたかも入り口と出口は分かっていても途中の経路に気付かぬまま道を行くかのような作品をあえて腑分けせず、その通りに演奏したのは、ひとえにドゥネーヴの指揮の手腕の成果と言えるでしょう。

指揮と独唱に人を得たこともあり、NHK響も伸びやかに譜面に向き合ったのは、この日の大きな成果でした。

他の3曲もいずれもそれぞれの特徴がよく押さえられていたのは、『ペリ』が冒頭のファンファーレから一貫して集中力を絶やさず、ドビュッシーの波濤のような旋律の連なりが生気に満ち、あるいは『サロメの悲劇』の恐怖と崇高さが入り混じる作品のひだを丁寧に描き出したことからもよく分かりました。

NHK響とは2019年以来3度目の共演となったドゥネーヴは、今や楽団にとって欠かせない存在となったかのようです。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1959th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1959th Subscription Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre on 11th June 2022 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Dukas' "La Péri", Ravel's Schéhérazade, Debussy's Prélude à l'après-midi d'un faune and Florent Schmitt's "La tragédie de Salomé". Solo Mezzo Soprano was Stéphanie d'Oustrac and conductor was Stéphane Denève.

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