阪神・淡路大震災の発生から28年目に思ういくつかのこと

本日、1995年1月17日(火)に阪神・淡路大震災が発生してから28年目を迎えました。

本欄が繰り返し指摘するように、たとえどれほど鮮明で克明な体験であっても、時間の経過に伴って記憶として堆積するという人間の記憶のあり方に即せば風化は避けられず、記憶は風化するという事実から出発することが、阪神・淡路大震災を後世に伝えるための第一歩となります[1]。

一方で、阪神・淡路大震災を実際に体験し、あるいは発生したことを覚えている人たちにとっては、何らかの形で風化した記憶が鮮やかによみがえるのも、決して珍しいことではありません。

私の場合は、当日が火曜日であったこと、高校3年生として受験した大学入試センター試験の第2日目が成人の日であったために翌日が振替休日となり、1月17日に学校に登校して自己採点を行う予定であったことなどから、阪神・淡路大震災の発生した曜日をよく覚えています。

それとともに、ともに同じセンター試験を受けた受験生のなかに被災者がいたことを考えると、その人たちの姿は決して遠くに見えるものではなく、何やら身近なものに感じられたものです。

こうしたことからも、たとえ1年のうちに1日だけであっても阪神・淡路大震災の犠牲者を悼み、何が起きたかを思い起こすことは、われわれにとって重要な取り組みとなることを改めて実感する次第です。

[1]鈴村裕輔, 「記憶の風化」は阪神・淡路大震災を後世に伝える出発点である. 2017年1月18日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/67e901b72aa6cc0161f3c07f3492df6e?frame_id=435622 (2023年1月17日閲覧).

<Executive Summary>
On the Occasion of the 28th Anniversary of the Great Hanshin-Awaji Earthquake (Yusuke Suzumura)

On 17th January 2023 is the 28th Anniversary of the Great Hanshin-Awaji Earthquake of 1995. Such “Memorial Day” is an essential event for us, since no one could not keep all impressions forever.

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