NHK交響楽団第1936回定期公演

今日は、19時30分から20時45分まで、NHK FMでNHK交響楽団の第1936回定期公演の実況中継を聴取しました。

NHKホールの改修工事に伴い今回から東京芸術劇場で行われることになった定期公演Cプログラムでは、バルトークの組曲『中国の不思議な役人』と管弦楽のための協奏曲が演奏されました。指揮は今季限りで首席指揮者の任期を満了するパーヴォ・ヤルヴィでした。

第1曲目の『中国の不思議な役人』は幻想的な雰囲気を持つ作品の特長を手際よくまとめた演奏で、情緒に流れることも無機的になることもなく、変化に富む音楽の持つ躍動感を過不足なく表現していました。

また、第2曲目の管弦楽のための協奏曲も、時折金管楽器に疲れの色が見られたものの、全体としては頻繁に入れ替わる曲想に柔軟に対応して細部まで彫琢された演奏を披露し、新楽季の幕開けを飾るにふさわしい好演となりました。

定期公演Cプログラムについては、新型コロナウイルス感染症の拡大という状況を受け、公演時間を従来の「2時間、休憩あり」から「60-80分、休憩なし」に変更されています。

楽団の活動の基本であり、最も注力する定期公演について、これまでの枠組みを変更するということは、昨年9月から行われた各月の公演の知見を反映した成果です。

さらに、前半に序曲と協奏曲、後半に交響曲という、現在の職業楽団ではほとんど常識となったかのような選曲のあり方に根本的な変革を迫るという点で、挑戦的でもあります。

それだけに、楽団関係者の努力のほどが思いやられるとともに、新しい形式による定期公演が、NHK交響楽団のさらなる飛躍のための第一歩となることが期待されました。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1936th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1936th Subscription Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre on 10th September 2021 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Bartók's The Miraculous Mandarin suite and Concerto for Orchestra. Conductor was Paavo Järvi.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?