『クラシックの迷宮』が思いこさせるルイジ・ノーノの音楽界への偉大な貢献

今日のNHK FMの番組『クラシックの迷宮』は、今年1月29日に生誕100年を迎えるイタリアの作曲家ルイジ・ノーノを特集しました。

第二次世界大戦後の前衛音楽の分野でピエール・ブーレーズ、カールハインツ・シュトックハウゼンと並ぶ中心的な存在であったものの、66歳の若さで亡くなったことと政治的な主張の強い作風であったことから実際の演奏はもとより放送でも耳にする機会が少ないのがノーノです。

そのような中で、ノーノの初期の作品から晩年に至るまでの作品や、ノーノの代表的な作曲技法であるテープ音楽や佳曲だけでなく、管弦楽作品や歌劇を取り上げ、さらにクラウス・ビュルガーのテューバによる『ドナウのためのポスト・プレ・リュード』を紹介するなど、その音楽の展開の過程だけでなく、作風の多様さや多層性が強調されたのが、今回の特集の勘所でした。

こうした特徴に加え、司会の片山杜秀先生の解説は、時にイタリアの政治風土に触れ、時にヨーロッパの楽壇の傾向に言及することで、ノーノが単に戦後の前衛音楽を牽引しただけでなく、当時の社会的、文化的な雰囲気を濃厚に身にまといつつ作曲活動を行ったことが示されました。

今年はブルックナーが生誕200年を迎えるなど、より知名度の高い作曲家への注目が集まる中で、いわば歴史の中に埋もれかけつつあるノーノを取り上げ、その音楽を概観することは『クラシックの迷宮』ならではの試みであり、それだけ意義深い特集になったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
"Labyrinth of Classical Music" Make Us Remember Efforts and Achivements of Luigi Nono (Yusuke Suzumura)

A radio programme entitled "Labyrinth of Classical Music" (in Japanese Classic no Meikyu) broadcast via NHK FM featured Kuigi Nono to celebrate his 100th Annibersary on 27th January 2024. It might be a meaningful opportunity for us to understand an importance of Nono's efforts and achievements.

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