「カール・ベーム没後40年」で思い出したいくつかのこと

去る8月14日(土)、1981年に指揮者のカール・ベームが逝去してから40年が経ちました。

ベームが歌劇と交響管弦楽の分野で幾多の優れた演奏と録音を残し、欧州を代表する指揮者として60年以上にわたり第一線で活躍したことは周知のとおりです。

また、日本でも1963年の日生劇場の落成記念公演のために演奏して以降、合計4回にわたり来日し、現在に至るまで幅広く支持されているのも広く知られるところと言えるでしょう。

私もNHKラジオ第一の『音楽の泉』やNHK FMの『20世紀の名演奏』で皆川達夫先生や黒田恭一さんの解説とともに演奏に耳を傾け、あるいはNHK教育テレビや衛星放送第2の映像を通して指揮の様子に接してきました。

あるいは、図書館で借り受けた志鳥栄八郎さんの『世界の名曲とレコード』「クラシック編」全3巻(誠文堂新光社、1966-1972年)の中に、ブルーノ・ワルターとともに頻出するベームの名前を見付けたのも、今では懐かしい思い出です。

ところで、私がベームの指揮する演奏のCDを購入したのは、東京都立青山高等学校の2年生であった1993年5月のことでした。

この時買い求めたのは1975年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と来日した際、NHKホールで演奏したブラームスの交響曲第1番とワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第1幕への前奏曲が収録されたCDで、ワーグナーの演奏の際の参考とすることを目的としていました。

結果として、一貫して悠然とした節回しと奥行きのある立体的で滑らかなブラームスと第4楽章が終わるのと同時に起きた観客の拍手にベームの魅力の一端を知った私は、目当てであったワーグナーの演奏とともに、録音を大いに堪能することが出来ました。

ベームの名前を見るたびに思い出される、私のベームについてのささやかな体験です。

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Dr. Karl Böhm for the 40th Anniversary of His Death (Yusuke Suzumura)

The 14th August, 2021 was the 40th Anniversary of Dr. Karl Böhm's death. In this occasion I remember miscellaneous memories of Dr. Böhm.

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