NHK音楽祭2022

昨日と本日、NHK FMではNHK音楽祭2022の実況録音が放送されました。

今年のNHK音楽祭はNHK交響楽団と東京都交響楽団が出演し、昨日の放送では今年10月31日(月)に行われたNHK響の公演が、本日は同じく10月19日(水)の東京都響の演奏会の模様が紹介されました。会場はいずれもNHKホールでした。

パブロ・エラス・カサドの指揮によるNHK響の公演はラヴェルの『クープランの墓』とマーラーの交響曲第5番でした。

繊細で色彩感に富むラヴェルと、時に深刻で時に諧謔さに溢れるマーラーを最後まで集中力を途切れさせることなく演奏する様子は、音楽祭の主催楽団の面目を大いに施すものでした。特に第5楽章の力強い演奏は、金管楽器の充実ぶりと相俟って大いに聞き応えのあるものでした。

また、東京都響は準・メルクルの指揮により、すぎやまこういちの交響組曲『ドラゴンクエスト』スペシャルセレクションとブラームスの交響曲第1番が演奏されました。

すぎやまを得意とする東京都響ならではの選曲は、一面で2021年9月に逝去した作曲者ためのよき追善となり、他面ではビデオゲームの音楽が20世紀半ばからの映画音楽と同様に作曲家にとって重要な表現の場となっていることを改めて伝える、重要な機会となりました。

さらに、ブラームスは第4楽章のホルンの吹奏が示すように奥行きの深い演奏となっており、首都の楽団にふさわしい仕上がりでした。

例年はNHK響と国外の楽団の公演により行われるNHK音楽祭も、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により2020年は中止となり、2021年は日本各地の楽団を招いて行われました。

外国の楽団が登場なしには音楽祭の興行的な成功は必ずしも容易ではないかも知れないものの、すみだトリフォニーホールの地方都市オーケストラフェスティバルが終わった現在、昨年と今年のように日本各地の楽団が集う機会を設けることは日本の音楽文化の一層の活性化という点で大きな意味を持ちます。

それだけに、来年以降のNHK音楽祭がどのような形態で行われるか注目されるところです。

<Executive Summary>
The NHK Music Festival 2022 (Yusuke Suzumura)

The NHK FM broadcasted the NHK Music Festival 2022 on 29th an d 30th December 2022. On this occasion the NHK Symphony Orchestra and the Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra appeared the festival.

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