「真珠湾攻撃80周年」はわれわれにとっていかなる意義を持つか

今日、日本時間の1941(昭和16)年12月8日に日本軍がハワイ・真珠湾を攻撃するとともに、米英に宣戦布告してから満80年が経ちました。

いわゆる真珠湾攻撃や日本による対米英戦争については、これまでに多数の研究が行われており、一般書や解説書も汗牛充棟の状態です。

その中で、軍部の情勢に対する判断の適切さや長期的な見通しの妥当さ、あるいは戦略的な劣勢を作戦や戦術で挽回しようとする軍当局の対応の可否などが様々なに議論されています。

それとともに、たとえ軍部が自軍の優位さを喧伝し、あるいは総力戦体制という形で一人ひとりの国民を戦時体制へと組み込む政策がとられ、様々な議論が制約されていたためとはいえ、日本の置かれた状況を楽観的に捉え、米英との戦いを支持したのが他ならぬ国民であったことも自明のこととなっています。

一方、日本では歴史上の出来事になったかの感のある真珠湾攻撃ながら、米国では2010年から2020年まで放映されたテレビドラマ"HAWAII FIVE-0"の中で真珠湾攻撃を体験した退役兵を取り上げる逸話"Ho'onani Makuakane"が製作されるなど、今も身近な出来事である点には注意が必要です。

こうした日米両国における真珠湾攻撃への非対称的な理解を前提としなければ、日米開戦の持つ意味をより適切に捉えることは容易ではありません。

同様に、日本における広島県広島市と長崎県長崎市への原子爆弾の投下に対する評価を米国の人々も理解することは、戦勝国と敗戦国といった枠組みを超え、真に強固な日米関係を築くためにも重要です。

従って、「真珠湾攻撃80周年」という機会に際し、日本においてこの出来事の持つ意味を考えることは、小さからぬ意義を持っていると言えるでしょう。

<Executive Summary>
How Can We Evaluate the 80th Anniversary of the Attack on Pearl Harbour? (Yusuke Suzumura)

Today is the 80th Anniversary of the Attack on Pearl Harbour by the Forces of the Empire of Japan. In this occasion we examine a meaning of the attack for both Japan and the USA.


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