『音楽と共に生きる90年~指揮者・作曲家 外山雄三』が示した大きな意義

昨日と本日、NHK FMで『音楽と共に生きる90年~指揮者・作曲家 外山雄三』が放送されました。

この番組は、今年5月10日に指揮者で作曲家の外山雄三が満90歳になったことを記念し、『N響アワー』や『N響ザ・レジェンド』で司会を務めた俳優の檀ふみを語りに迎え、外山の音楽家としての足跡を談話や代表的な作品、あるいは実演を通して振り返るものです。

古くはモーツァルト、ベートーヴェン、メンデルスゾーンやワーグナーからマーラーまで、作曲者が指揮者として活動することは珍しくありません。

しかし、19世紀後半以降に指揮者と作曲家の分業化が進み、20世紀になって専門的な職業としての指揮者の像が確立されると、作曲家が自作を指揮したり指揮者が作曲や編曲を手掛けることはあっても、いずれの分野でも傑出した実績を残す者は限られるようになります。

もちろん、レナード・バーンスタインやピエール・ブーレーズ、あるいはクシシュトフ・ペンデレツキといった顔はすぐに浮かぶとしても、さらに多くの名前を挙げることは容易ではありません。

そうした中で作曲家として現在も創作活動に携わり、指揮者としてもNHK交響楽団をはじめとする国内の様々な楽団で要職を歴任した外山の存在は、日本だけでなく世界的にも貴重なものです。

それだけに、いかにして音楽の道を目指し、作曲と指揮の二つの分野で大成したかを外山自身が回想するとともに、1953年にジャン・マルティノンがNHK交響楽団を指揮した『小交響曲』など、貴重な音源を含む多くの作品の録音が紹介されたことは、外山の活動の幅広さと息の長さを物語ります。

2日間にわたる特集によって、外山雄三という音楽家の魅力が改めて広く知られ、そして後世により良い形で伝えられる一助となるとすれば、今回の企画の持つ意義は大きいと言えるでしょう。

<Executive Summary>
NHK FM's Feature Programme "Living with Music for 90 Years: Yuzo Toyama, a Conductor and a Composer" Has an Important Meaning (Yusuke Suzumura)

NHK Fm's feature programme "Living with Music for 90 Years: Yuzo Toyama, a Conductor and a Composer" was broadcasted on 29th and 30th December 2021. It has an important meaning for us to understand Yuzo Toyama's contribution to the field of orchestral music.


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