NHK交響楽団第1976回定期公演

昨日、NHK交響楽団の第1976回定期公演がサントリーホールにおいて行われ、NHK FMの実況中継で鑑賞しました。

今回は、前半にバルトークのヴィオラ協奏曲、後半にラヴェルの『ダフニスとクロエ』組曲の第1番及び第2番とドビュッシーの交響詩『海』でした。ヴィオラ独奏はアミハイ・グロス、指揮はトゥガン・ソヒエフでした。

後半のラヴェルとドビュッシーとはいずれもソヒエフの得意とする作曲家です。

実際、弦楽器による弓の上げ下げに至るまで絶妙な間合いを保つ演奏からは、作品の隅々までよく把握したソヒエフが細部まで丹念に磨き上げていることがよく分かります。

かつてシャルル・デュトワが常任指揮者や音楽監督を務めていた頃のNHK響は、ラヴェルやドビュッシーなどを薄絹のような肌触りの音楽に仕立てていたことを考えると、ソヒエフはより幻想性の強い音楽を志向していると言えるでしょう。

もちろん、NHK響に登場する指揮者の中でフランス音楽を得意とするのはデュトワとソヒエフだけではないものの、音楽の目指すところから考えれば対照的であるという点で、興味深い事例として思い出されるところです。

一方、前半のバルトークはグロスの熱量の高さと精緻な弓遣いが際立つ演奏で、ヴィオラ協奏曲の代表作にふさわしい、聞き応えのある内容でした。

1月の定期公演は、古典派とロマン派、ロシア音楽あるいはフランス音楽など、ソヒエフの音楽の幅の広さを改めて確認できるものでした。

それだけに、今後の共演でどのような新しい一面が発見されるか、これからのNHK響への登場を一層期待させた、今回の定期公演であったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 1976th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1976th Subscription Concert at the Suntory Hall and broadcasted via the NHK FM on 25th January 2023. In this time they performed Bartók's Viola Concerto, Ravel's Daphnis et Chloé, suite Nos. 1 & 2, and Debussy's La mer. Solo viola was Amihai Grosz and conductor was Tugan Sokhiev.

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