NHK交響楽団第1956回定期公演

昨日、NHK交響楽団の第1956回定期公演をNHK FMの実況中継で鑑賞しました。会場は東京芸術劇場コンサートホールでした。

今回は前半にシューマンのヴァイオリン協奏曲、後半にシューベルトの交響曲第8番『ザ・グレート』が演奏されました。ヴァイオリン独奏はアリョーナ・バーエワ、指揮はマレク・ヤノフスキでした。

前半のシューマンは、バーエワの均整が取れて控え目な演奏のみに焦点を当てれば協奏曲としては物足りなさを覚えるものの、特に木管楽器が洗練された技量を発揮した伴奏との融合という点では、絶妙な調和をもたらし、かえって作品の魅力を鮮やかに描き出したと言えるでしょう。

また、後半のシューベルトは冒頭から力強く前進する演奏で、比較的短めに切り上げられる旋律の積み重ねによってある種の緊迫した躍動感が生み出されました。

特に第4楽章は後のマーラーやブルックナー、さらにリヒャルト・シュトラウスの作品を先取りするかのような空間的な広がりを持つ演奏ではなく、一面で即物的であり、他面で枝葉を切り落とし音楽そのものの芯を太くした音楽を作り上げました。

NHK響といえばヘルベルト・ブロムシュテットが大家と称されるべき年齢になりながら、新たな演奏の様式を試みることが知られます。

ヤノフスキも、ブロムシュテットの場合と同様に長年にわたる実績を持ちつつ、絶えず新しい演奏の実現を目指しており、そうした姿の一端が実際の公演において示されたことは、今回の大きな成果の一つであったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1956th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1956th Subscription Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre on 14th May 2022 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Schumann's Violin Concerto and Schubert's 8th Symphony "The Great". Solo violin was Alena Baeva and conductor was Marek Janowski.

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