【追悼文】ビン・スカリーさんについて思い出すいくつかのこと

現地時間の8月2日(火)、大リーグのロサンゼルス・ドジャースで専属実況中継者を務めたビン・スカリーさんが逝去しました。享年94歳でした。

スカリーさんが1950年にブルックリン・ドジャース専属の実況中継担当者となって以来、2016年に引退するまで67シーズンにわたり「ドジャースの声」として親しまれたことや、1982年に野球放送における殿堂入りと称されるフォード・C・フリック賞を受賞したこと、あるいは引退直後に当時のバラク・オバマ大統領から文民に贈られる最高の栄誉である大統領自由勲章を授与されたことなど、球界を代表する放送人として活躍したことは周知の通りです。

私も、1992年から本格的に大リーグ研究を始めた際に、ハリー・ケリーさんとともに大リーグを代表する実況中継者として親しみました。

いずれも球界を代表する放送人ながら、"Holy Cow"と実況によって試合をさらに盛り上げようとするケリーさんと、どの場面で聞いても試合の展開が分かる的確さと可能な限り球場の雰囲気を伝えようとするスカリーさんの対比は印象深いものでした。

また、印象深いと言えばスカリーさんの映画への出演で、ケビン・コスナーの主演映画"For Love of the Game"(1999年)にカメオ出演していたことで、UIPの試写室で鑑賞した際にスカリーさんが単なる実況中継者の枠にとどまらず、人々から幅広い支持を得る存在であることを実感したものです。

時代は移り変わり、大リーグの実況中継もラジオからテレビ、さらにインターネット配信と多様化しています。

そのような中でも、絶叫や定型的な表現に頼らず、一見すると淡々としながら試合の展開の勘所を押さえる「スカリー流」の実況の技術は色褪せることはありません。

声を通して野球の魅力を多くの人たちに伝えてきたビン・スカリーさんのご冥福をお祈り申し上げます。

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Mr. Vin Scully (Yusuke Suzumura)

Mr. Vin Scully, a broadcaster for the Los Angeles Dodgers, had passed away at the age of 94 on 2nd August 2022. In this occasion I remember miscellaneous memories of Mr. Scully.

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