大リーグのオールスター戦は野球そのものに対して大きな意義を持つ

現地時間の7月16日(火)、大リーグのオールスター戦が行われました。会場はテキサス・レンジャースの本拠地であるグローブライフ・フィールドでした。

今回の試合はナショナル・リーグ代表の大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)が第2打席でオールスター戦としては自身初となる本塁打を放ち、史上初めてオールスター戦で勝利と本塁打をいずれも記録した選手となりました。

また、大谷選手の3点本塁打に対してアメリカン・リーグも同点に追いつくと、3対3で迎えた4回裏に今永昇太選手(シカゴ・カブス)が無安打無失点と、大リーグ1年目で初めて選出されたオールスター戦での登板で好投しました。

一方、アメリカン・リーグは5回表にジャレン・デュラン選手(ボストン・レッドソックス)の放った2点本塁打が決勝点となり、5対3でナショナル・リーグに勝利しました。

デュラン選手は初出場となった今回のオールスター戦で最優秀選手となり、今季の好調さを広く示しました。

このように、例年に劣らず見どころの多かった今年のオールスター戦において、大リーグ機構はテキサス州キャロルトンに本拠を置くアダプティブ・トレーニング財団(The Adaptive Training Foundation: ATF)と提携し、会場であるグローブライフ・フィールドで年齢や性別、身体機能のあり方など様々な市民を招いた練習会を開催しました[1]。

これは、機構が2020年から本格的に取り組んでいるより幅広く多様な層への野球の普及と、野球を手掛かりとした社会への参画の促進という取り組み[2]を象徴するものです。

1997年にインターリーグが始まり、それまでオールスター戦かワールド・シリーズでなければ実現しなかった両リーグ野球団の対戦が恒常的になされるようになったことで、「夏の伝統」と称されるオールスター戦への注目度が低下しているのは明らかな事実です。

なにより、毎年選出されたものの辞退する選手が少なからずいることは、選手にとってのオールスター戦の持つ意義の変化を示すものです。

しかし、こうした機会を捉えて機構が推進する野球の多様化の姿を示そうとすることは、たとえ往年のような高い関心の対象となることが難しいとしても、依然として一定の注目を集めるオールスター戦を活用した、重要な試みです。

その意味で、オールスター戦そのものは、形を変えながらも大きな価値を持っていると言えるでしょう。

[1]All-Star Most Inclusive Workout. MLB, 15th July 2024, https://www.mlb.com/video/all-star-most-inclusive-workout (accessed on 17th July 2024).
[2]鈴村裕輔, 文化の多様性の観点から見る大リーグ. 名城大学, 2022年9月5日, https://www.meijo-u.ac.jp/sp/meijoresearch/feature/diversity01.html (2024年7月18日閲覧).

<Executive Summary>
The MLB All-Star Game 2024 Shows the Mid-Summer Classic's Important Value (Yusuke Suzumura)

The MLB All-Star Game 2024 was held at Globe Life Field on 16th July 2024 and the American League defeated the National League in 5-3. On this occasion, we examine the meaning of the Mid-Summer Classic and its importance for baseball itself.

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