NHK交響楽団第1978回定期公演

昨日、NHK交響楽団の第1978回定期公演が行われ、NHK FMの実況中継で鑑賞しました。会場はNHKホールでした。

今回はバーンスタインの『ウエスト・サイド・ストーリー』から「シンフォニック・ダンス」とラフマニノフの交響的舞曲が演奏されました。指揮はヤクブ・フルシャでした。

NHK響と『ウエスト・サイド・ストーリー』の組み合わせで思い出されるのは、ローレンス・フォスターの指揮による1995年4月の第1261回定期公演です。

このときはドラムスに猪俣猛を招き、微笑みを絶やすことのない姿によって軽快に演奏する様子が大変印象的で、当時は珍しかったジャズ奏者とオーケストラの共演の醍醐味を堪能できたものでした。

「ダンス」の側面を強調した1995年に対し、28年後の今回は「シンフォニック」の要素が重視された演奏で、音が大きいという楽団の特徴が巧みに活かされた内容でした。

シャーク団とジェット団が指をはじきつつ互いに詰め寄る場面を再現した冒頭でのサキソフォンに始まり、「マンボ」での掛け声、あるいは「ランブル」での乱闘の描写など、開放的な雰囲気を持つ曲の力強さは、聞き手に強い印象を与えました。

一方、第2曲目のラフマニノフも、既存の作品からの引用によって厚みが増し、多様な性格を示す作品を丹念に腑分けするフルシャの音楽作りによって、強い緊張感の直後の寛いだ雰囲気がひときわ鮮やかに描き出されました。

バーンスタインとラフマニノフはピアノ奏者としても作曲家としても持ち味が異なるものの、「シンフォニック」と「ダンス」の点で共通する作品を揃えることでかえって両者の特徴の比較の機会を聞き手に与えた今回の公演は趣向が凝らされており、様々な形を模索するCプログラムに一つの可能性を与えるものでした。

進境著しいフルシャの手腕を堪能できたことも含め、今回も興味深い公演となりました。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 1978th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1978th Subscription Concert at the NHK Hall and broadcasted via the NHK FM on 10th February 2023. In this time they performed Berstein's Symphonic Dance from West Side Story and Rakhmaninov's Symphonic Dance. Conductor was Jakub Hrůša.

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