「ガバナビリティとハーモナイゼーションの関係」で思い出された村山富市元首相を巡るいくつかのこと

「危機と首相」という観点で日本の政界を眺めれば、1923年の関東大震災と山本権兵衛や1941年の日米交渉と東条英機といった名前が浮かぶかもしれません。

そして、過去25年に限れば、私にとって最も印象的な人物は村山富市さんです。

周知の通り、1995年の阪神・淡路大震災の際には法制上の問題もあって初動が遅れ、しかもその遅れを認めたことで種々の批判を受けたものでした。

しかし、関係閣僚や官僚機構を駆使して復興対策に当たったことは、国会対策に通じた「社会党の闘将」ではあっても外交や財政、さらに防災対策には不得手であるという自らの特徴を弁えた態度の結果であったと考えられます。

もちろん、「分かることは分かる、分からないことは分からない」という態度は、あるいは政治家として、もしくは一国の行政府の長としては物足りないものかも知れません。

それでも、「指導力」、「リーダーシップ」という時、周囲を牽引するだけでなく種々の調整を行って物事を前進させるのも一つの手腕だとすれば、村山さんは「ハーモナイゼーションもガバナビリティの一つ」[1]を実践していたと言えるでしょう。

[1]竹下登, 政治とは何か. 講談社, 2001年, 321頁.

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of a Relationship between Governability and Harmonisation: In the Case of Former Prime Minister Tomiichi Murayama (Yusuke Suzumura)

Governability and harmonisation might be important view points when we examine a meaning of leadership. In this occasion we remember activities of Japanese Former Prime Minister Tomiichi Murayama based on a relationship of these two elements.

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