生成系AIと教育に関する研修会についての備忘録

去る2月28日(火)、私の本務校においてFD活動の一環としてChatGPTや他のAIと教育活動に関する研修会が開催されました。

既知の内容もあったものの、今回の研修によって新たな知見を得た話題や今後の教育活動に繋がる視座などに触れることができるなど、私にとって意義深い研修会でした。

そこで、備忘録の代わりに、以下に当日講演を行った専門家のお話の概要を箇条書きにするとともに、その後の質疑応答のあらましをご紹介します。


・現在のAIの最大の課題は人格にどこまで近づけるか、という点である。
・2043年までに人間と問題なくコミュニケーションを取れるまで発展する、という予想もある。
・AIによる文章や絵画の作成の精度は過去数か月間で飛躍的に向上しており、今後は「AIが作ったのではない」ということを証明するために、「目の前で書く」「書く様子を録画させる」といった同期的な側面が重要になる。
・「コピペチェックにひっかからないように書いて」と指示すればChatGPTで生成した文章が見抜けないようにすることも可能。あるいはChatGPTのデータをGrammaryなど、他のAIで確認させ、複数の工程を経ることでコピペチェックを潜り抜けることもできる。
・「知識と推論」が人間がAIを超えられる最後の領域となる。
・英語でプロンプトを書く方が、精度もコストも安くなる。
・英語の文献は80%、日本語は4%で、出版されている文献の数にAIの生成力が依存する。
・日本語のコストは英語の3倍であり、1文字当たりのコストは日本語が高い。
・文献数に基づけば、「AIの公用語」は英語か中国語となる。

【問い】音声がいつ頃組み込まれるのか?
【答え】ChatGPTがWhisperを提供しており、部分的に音声でのやり取りは可能。ただし、タイムラグが問題。短い質問に対する反応でも、1分から2分は待たなければならない。音声の解析能力は開発途中。
【問い】ChatGPTに記憶の蓄積や記憶の個人化は出来るか?
【答え】初回は100円のランニングコストながら、1か月で10万円のコストがかかる。パーソナライズ化はコストがかかり、処理能力が低いのが現状。反応速度が遅くてもよいなら、ChatGPTがSpeakを提供している。
【問い】AIに関連する資格は作られるか?
【答え】AI関連の資格は、AIの進歩そのものが早すぎるため、作ることそのものが難しくなる。「情報の塊」の陳腐化は早い。
【問い】AI時代に求められる人材像はどのようなものか?
【答え】「AIがアウトプットしたものを評価できる能力」が重要になる。
【問い】生成系AIの弱点は?
【答え】AIは知識と推論力が高いが、表現力が低い。日本語や英語と言った言語を問わず、表現力を磨いている人の市場価値は、今後も高くなる。現在流行している職業の一つがプロンプトエンジニアで、求められるのは「正しく言語化する能力」。そのため、当面必要なのは国語力や幅広い知識となる。
【問い】AIの推論の精度は、情報量が決定的な要因なのか?
【答え】情報量が多いから正しい推論を出来るのではなく、AIが得意な分野であれば少ない情報量でも精度の高い推論を行える。


<Executive Summary>
A Memorandum for a Workshop of Generative AI for Education (Yusuke Suzumura)

A workshop of Generative AI for Education was held at Meijo University Faculty of Foreign Studies on 28th February 2023. On this occasion, I note an outline of the workshop as a memorundum.

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