続編への期待を高める『クラシックの迷宮』の「野田暉行特集」
本日NHK FMで放送された『クラシックの迷宮』は、「野田暉行没後1年に寄せて〜NHKのアーカイブスから〜」と題し、昨年9月18日に逝去した野田暉行先生の没後1年を記念する特集が組まれました。
野田先生の日本の現代の音楽史上における貢献や東京芸術大学での位置付けなどについて番組の冒頭で簡潔に説明し、その後は実際の作品を紹介するという方法はいつもながらの構成です。
とりわけ、「絶対音楽への強い信念と、形式への強い信頼」という趣旨の司会の片山杜秀先生による野田暉行先生の評価は、その後に続く紹介作品の特長と照らし合わせても、実に納得のゆくものでした。
今回紹介されたのは、以下の3曲でした。
(1)ホルン、チェロ、ティンパニ、チェレスタのための四重奏曲(1965年作曲、放送)
(2)音楽物語『海に落ちたピアノ』(1974年作曲、放送)
(3)弦楽四重奏曲(1986年作曲、1994年録音)
いずれも濃密な作品ながら、バルトークの弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽を踏まえた第1曲、ストリンドベリの道和に着想を得て蓬莱泰三が台本を書き、1970年代の持つ厭世的な雰囲気を濃厚に反映した『海に落ちたピアノ』、そして端正な仕上がりの中に豊かな感性が凝縮された弦楽四重奏曲と、それぞれ持ち味の異なる3曲が並んだことも、野田先生の音楽の特長をよりよく知るためには重要な手掛かりとなりました。
次回は、今回の特集からさらに一歩踏み込み、野田先生が大きく貢献した日本の伝統音楽を用いた管弦楽作品や心血を注いだ交響曲の特集などを期待させる、「野田暉行没後1年に寄せて〜NHKのアーカイブスから〜」の放送でした。
<Executive Summary>
"Labyrinth of Classical Music" Recalls Professor Teruyuki Noda's Efforts and Contributions to Japanese Contemporary Music (Yusuke Suzumura)
A radio programme entitled "Labyrinth of Classical Music" (in Japanese Classic no Meikyu) broadcasted via NHK FM featured Professor Teryuki Noda's 1st anniversary of his death on 28th October 2023. It might be a meaningful opportunity for us to recall Professor Noda's effots and contributions to Japan's contemporary music.