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【追悼文】五百旗頭真先生について思い出すいくつかのこと

昨日、五百旗頭真先生が逝去されました。享年80歳でした。

政治学者、教育者としての五百旗頭先生のご活躍はもとより、ひょうご震災記念21世紀研究機構などでの防災・減災対策への取り組みや提言でも重要な役割を果たされたことは周知の通りです。

五百旗頭先生とは、私が2011年9月から2012年8月までサントリー文化財団の鳥井フェローを拝命していたこともあり、フェローの任期中、そしてその後も財団の催事でご一緒する機会を頂戴しました。

例えば、鳥井フェローとサントリフェローの中間報告会や山崎正和先生が塾長を務められた「知」の試み研究会などで、その明快で話題の核心を突くお話を伺うことは、私にとって大変重要な学びの機会でした。

特に2012年8月に小田原で開催された2泊3日の研究合宿に陪席した際、朝食後にテニスラケットを手にした五百旗頭先生から「あなたはテニスをしますか?」と質問されたことは、ひときわ印象的でした。

何故なら、私がテニスの経験がなくご一緒するには役に立たないことをお伝えすると、「それは残念。次までに練習するように。宿題ですよ」とおっしゃっていただいたからです。ことのきの五百旗頭先生の悠揚迫らざる様子は、「それは残念」の一言とともに、今も時折思い出される場面です。

ただ、その後も私がテニスを行うことがなかったため「宿題」の答え合わせを出来なかったのは、五百旗頭先生には大変申し訳ないことをしてしまいました。

ところで、五百旗頭真先生と最後に直接お話ししたのは2017年11月17日に経団連会館4階402号室で行われた、サントリー文化財団の主催による「『アステイオン』創刊30周年記念フォーラム「時代を論じて--鋭く感じ、柔らかく考える」の席上でした。

このとき、私は五百旗頭先生のご講演の内容を、私自身の体験を交えながらまとめ、WEBアステイオンに発表するする機会を頂戴しました。

平成の30年にわたる歩みを概括し、その次の時代を見通すための文字通り気宇壮大なお話は聞き手を魅了するもので、魅力的な講演をまとめた際にその妙味を読み手に伝えられるかは重要な問題でした。

それでも、原稿を確認していただいた際、「とてもよく書いていただき嬉しく思います 一か所だけより正確に言えば、手を入れました. MI」と手書きのお返事を頂戴したことは、私にとって大きな励みとなったものでした。

こうして完成した私の記事「冷戦後の世界と、新しく過渡的だった平成という時代」は、現在もニューズウィーク日本版に転載されて一般公開されていますので、ぜひご覧ください。

*冷戦後の世界と、新しく過渡的だった平成という時代
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/12/post-9204_1.php

最近でも、2019年2月に日本経済新聞の「私の履歴書」を担当されたり、2021年に福田赳夫の初の本格的な評伝となる『評伝福田赳夫』(岩波書店)を監修されるなど、精力的に活動されてきました。

それだけに、今回の訃報は私にとってあまりに突然のことであり、もうお目にかかることができないかと思うと、実に残念なことです。

改めてこれまでの五百旗頭真先生のご指導に感謝するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Professor Dr Makoto Iokibe (Yusuke Suzumura)

Professor Dr Makoto Iokibe, Former President of the National Defense Academy of Japan and Professor Emeritus of Kobe University, had passed away at the age of 80 on 6th March 2024. On this occasion, I remember miscellaneous memoris of Professor Dr Iokibe.

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