NHK交響楽団第1957回定期公演

昨日は、19時30分から21時まで、NHK FMでNHK交響楽団の第1957回定期公演の実況中継を鑑賞しました。会場は東京芸術劇場コンサートホールでした。

定期公演Cプログラムは休憩がなく、今回は第1曲にモーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』序曲、第2曲がモーツァルトのピアノ協奏曲第20番、第3曲がベートーヴェンの交響曲第8番でした。ピアノ独奏はアレクサンドル・メルニコフ、指揮はファビオ・ルイージでした。

いずれもよく知られた作品ばかりながら、ピアノ協奏曲はメルニコフの粒の揃った、繊細でふくよかな演奏が聞き慣れた1曲の輪郭をより鮮やかに描き出していました。

一方、ベートーヴェンはルイージが得意とする作曲家であることをよく示す演奏で、細部まで綿密に追及しつつ演奏者にその手腕を発揮させる余白を残す様子は、今年9月の首席指揮者への就任後に様々な作品に適用されるものでしょう。

軽快さを保ちつつ劇的な表情を失わない『ドン・ジョヴァンニ』序曲も、歌劇場での経験がよく生かされた演奏でした。

通俗的な作品を中心に据えるというかつての定期公演Cプログラムの特徴を踏まえた公演は、入念に下絵を描き、どのような状況でも一定の水準以上に仕上げてきたパーヴォ・ヤルヴィとはまた異なるであろう、新体制後の公演の姿を予想させるものであったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1957th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1957th Subscription Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre on 20th May 2022 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Mozart's "Don Giovanni" overture and Piano Concerto No. 20, and Beethoven's 8th Symphony. Solo piano was Alexander Melnikov and conductor was Fabio Luisi.

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